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吸血鬼シリーズ

「なに…これ…」

それはある満月の夜

月明かりに照らされた小道のど真ん中に
堂々と伸びている黒っぽい物体

鳥?…にしては不格好だが…
ネズミにしては大きい…

まっ、とにかく
面倒な事には関わりたくないので
その脇をそっと通り抜けようとした時だった…

「いてっ」

チクッと何かに刺されたような痛さと暖かさが自分の足に伝わった

恐る恐る足元を見ると…

「げっ」

道に転がっていたはずのそれが
いつの間にかズボンの上から俺様の足にしがみついていた

「ちょっ、冗談キツいぜ」

足をぶんぶんと振って
何とかその物体を振り落とそうとするが
その物体はなかなか離れようとしない

はぁ…と溜め息をついて
その物体をつまみ上げてみる

すると
そいつは所々血だらけで怪我をしていた

……このまま置いていけば、確実に明日には死んでしまうだろう…

「…って!!何考えてんの!!俺様は!!まったく…」

ひとりでノリツッコミをしながら
もう一度その物体を見つめる

呼吸が荒い…
きっと相当苦しいんだろう…

よく見るとこいつ可愛い気が…

いやいやいや…
だから!!何考えてんの!!自分!!
こんな訳のわからない物体飼えるわけないじゃん!?

………でも…

はぁぁぁ…ともう一度深い溜め息をついた

学生の俺様は
ペットOKなんて大層なマンションに住める訳もないので
もちろんこの物体を飼うなんて言語道断なのだけど…

「俺様のせいで死ぬってのも後味悪いし…。傷が治るまでなんだから問題ないよね」

と自分に言い聞かせるように
その物体を部屋に連れ帰った

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あきゅろす。
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