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中編小説

◇ヤンデル
◆18禁
◇人が死にますので苦手な方は注意


それは、某がカウンセラーとして慣れ始めた頃の事だった

「凶悪な犯罪者を捕まえたのだが、何も話してくれない。良かったら協力してくれないか?」

そう友人のベテラン刑事、小十郎さんに頼まれ
その時はめったにない良い経験になると思って、2つ返事で了解した

それがその後、どのような悲劇を招くかも知らないで…



「こいつが、この間話した殺人犯。Shinobiと言う愛称で殺し屋をやっていて、今までに最低でも20人は殺してる…と言うところまでは掴んだんだが…。まだ本名すらわからない。うちの奴がやっとこいつの尻尾を掴んで色々調べていたんだが…そいつも殺されちまってな…。やっと捕まえたのにこっちのことは無視と来た。だから…頼む、何でもいい。こいつから何か聞き出せるなら聞きだしてくれ…!!今まで何人も頼んだんだが…みんな無視で何も話してもらえなかった」

拘束服を身に付けられている彼を、小十郎さんはマジックミラー越しに見て軽い説明をしてくれた

「拘束服で動けないようになっているし、もし何かあってもすぐに行けるように俺もここにいる。頼めるか…?」

軽く考えていた話がこんなに大変な事だと思っても見なかったし、今言っていた話からすると…もしかしたら殺されかねないと言う事でもある

しかし、逆にやり遂げた時
きっと某はカウンセラーとして自信が持てるだろう

「是非、やらせていただきまする」

そう言って、ガチャリと扉を開く

中の椅子に座る彼はこちらをチラリと見るが
興味なさそうに、またすぐにどこか違う所に目を向けてしまった
しかし、某は負けずに

「こんにちはでござる」

と彼に言ってみる

すると彼はこちらを見てフッと笑うと

「ござるって…どこの時代だよ」

とバカにした

しかし、それは彼がここに来て初めて口に言葉だった

「なんだ。話せるのではないか。某はてっきり話せないのかと思うたぞ?」

「今までの奴らが気に入らなかったから話さなかったの。それに、この会話…どうせ撮られてるんでしょ?だから話したくない」

「何!?それは誠か!?」

「知らなかったの?」

「すまぬ。某、このような事は初めてで…」

そう言って頭をかくと、彼はクスクスと笑った

「あんた…面白いね。いいよ。あんたになら俺様の事話してあげる。ただし、条件がある」

「条件…とな?」

「そう。あんたと俺様だけで話したいから。音声も映像も…撮るのやめさせてよ。そしたら話してあげる」

彼は挑発するように、こちらからは見えないはずのマジックミラーの方を見てにっこりと笑った

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あきゅろす。
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