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中編小説

◇某歌死ネタ
◆佐助視点
◇悲恋







暗闇に包まれている城牢の中

「佐助…!!」

「旦那…!?何でここに…」

「会いたかった…佐助…」

「ごめん…旦那。しくじっちゃった…」

唯一外と繋がる窓の格子越しに
俺様と旦那は小さく会話を交わす




忍にはあってはならない

任務の失敗と言う大きなミス



しかも、よりによって暗殺に失敗したのだ

そして、捕まった



向こうは手練れの暗殺部隊である忍を何十人も隠していたのだった

一方こっちは俺様率いる忍が数人だけ…

適うはずがなかった

なぜ、向こうの忍に気づけなかったのか…

佐助は己の未熟さを恨んだ
そして、己の未熟さ故に一緒にいた部下までも捕まってしまった事を酷く悔やんだ


その理由というのも、佐助は暗殺の任務につきながらも
気持ちはそっちのけだったからという、忍にはあってはならない理由なのだ



それは、ほんの数日前
いつものように、主である幸村と鍛錬を終えた後の事

「佐助…。佐助は…ずっと某と居てくれるよな…?」

それは唐突に聞かれた

「なーに?どうしちゃったの?熱でもある?」

といつものようにちゃかしたように聞くと
幸村は急に俺様の胸に顔を隠すように寄りかかってきたかと、胸に顔をうずめてきた

そんな幸村に、ドキリと心臓が跳ねた

「だ、旦那…?」

このままでは、なんかまずい…

そう思って旦那の肩を掴み、自分から離すと
旦那の頬には何故か涙が伝っていた

「だ、旦那!?どうしたの?」

慌ててその涙を指で拭ってやると

「約束だぞ」

泣いていたはずの旦那が、今度は満面の笑みを浮かべた

その笑みに、またしても心臓が高鳴った

これは…なんだ…?
こんなの…知らない…

旦那の泣いている顔なんて見たくない
旦那を思うと胸が締められるように痛い
旦那が酷く愛おしい

こんな感情知らない…

旦那とずっと一緒に居たい…



そんな浮ついた気持ちを胸に秘めたまま
この任務についてしまったのだ



いつもの俺様だったら、どんな私情を秘めていようと
仕事は仕事で冷静にして居られたのに…




そんな旦那が倒れたらしいと暗殺の数分前に部下から聞き、ガラにもなく酷く動揺してしまっていたのだった

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あきゅろす。
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