中編小説 勝負(午後の部) 応援合戦の結果は最後の結果発表時に追加されるためわからない 佐助は精神的ダメージを受けげんなりしていた しかも、佐助が着替えるための体操服はみたらし団子の液体でベタベタ… つまり、この体育祭が終わるまでずっとメイド服でいなければいけない そう考えると、佐助は更に落ち込んだ 幸村は佐助のメイド服なんてめったに見られるものでもないし、もう少し見ていたい…とも思ったのだが 佐助のあまりの落ち込みようにいたたまれなくなり 「そ、そう言えば。某部活でよく汗をかく故、体操服をもう一枚持っていたような…。某ので良かったら着るか?」 と聞くと、佐助がキョロキョロと辺りを見回したり、自分の頬を抓ったりと挙動不審な動きを始めたかと思うと 「えっと…。今、旦那の体操服を俺様に貸して下さるとか仰いました?」 なんて、変なしゃべり方で聞いてくる しかも、鼻の下もメイド服も真っ赤…って 「さ、佐助!!鼻血が出ておるぞ!?」 慌ててポケットにあるティッシュで押さえ、先ほどと同じように更衣室へと連れていく 「あはは…。ごめんごめん」 更衣室の椅子へ座らせると佐助はヘラヘラと笑っていた しかし幸村は、佐助は具合が悪いのに無理をしていたのだと…大きな勘違いをした 具合が悪いのに体育祭に出て、某の嫉妬なんかでシャワーを浴びたから余計に悪化させてしまったのだ…と 幸村は替えの体操服を急いで取りに行き、それを佐助に渡すと 「午後の競技は某に任せて、佐助はリレーまで休んでおれ!!」 と胸を張って言うと、佐助の返事すら聞かず駆けていってしまった 佐助はなにがなんだからわからず、何も言う事が出来なかった そんなやり取りをしている間も体育祭は進んでいるわけで、大将、副大将を失った紅組はチーム戦がボロボロだった しかし、その後の幸村の活躍により なんとか巻き返しをはかることが出来た 只今、蒼紅の得点は互角 残る勝負はリレーのみ 幸村は勝利を確信した リレーは絶対に勝てる自信がある 何せ、元忍の佐助がいるのだ 他のクラスにも早い奴はいるが、戦国時代某の馬の隣を常に走っていた佐助に勝てる奴などいるはずがない 後は某が頑張れば勝てる 絶対…絶対に勝って佐助に全てを打ち明けよう 今日はすまなかったと 本当は記憶が戻っていたと ………佐助を今でも愛しておると… しかし、幸村はその時 その場に政宗と小十郎がいない事にまったく気づいていなかった [*前へ][次へ#] [戻る] |