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中編小説
今に至るまでD
「よぉ、幸。最近ツレねぇじゃねぇか?」

「げっ…」
「政宗殿…」

そう、俺様達の幸せな日々を邪魔する男、伊達政宗
=(イコール)俺様の天敵
と、その後ろにはいつものように小十郎が控えめに立っている

右目の旦那は別に無害だからいいとして

独眼竜に関しては、最近は旦那に言い聞かせて、なんとか距離を置いてもらっていたし
俺様が近くにいたから寄って来なかったのに…

「何の用?」

俺様がキッと睨みつけて言うと

「Ah?なんだ、いたのか…猿」

なんて、いかにもわざとらしく言ってくる

イラッと来るが、ここは先輩として我慢我慢…

と、思っていたのだが…

「ちょっと幸に用があってな」

「そ、某に何の用でござるか?」

「これ。この間借りたノートを返しにきた」

「わざわざ返しに来て下さったのか…。教室で返して下されば…」

「まぁ、細けぇ事は気にすんな」

そう言って、こちらをちらっと見て笑った

……こいつわざと…
えぇい、俺様は先輩俺様は先輩…

そう自分に言い聞かせていた俺様の前で

「後、これは礼だ」

なんて言って、旦那に近づいたかと思うと
チュッと軽い口付けを旦那の頬に落とし

「Thank you?」

と意地の悪い顔で笑った

俺様は一瞬、何が起こったのかわからなかったが
自分の中でプツンと何かが切れるのがわかった

そして、冒頭に戻るって訳だ


「旦那…。何で怒らなかったの…?」

俺様だってまだしたことないほっぺにチューを、何故独眼竜なんかに許したのか理由がわからなくて
旦那を少し睨んで言った

あれは旦那が悪いわけじゃないけど、旦那なら避けられない事もなかったんじゃないのかな…って思う

すると旦那は俯いて何か呟いた

「……すけが、な…もして…ないから」

しかし、その声はこの俺様にすら聞き取れないほど小さく

「えっ?」

と聞き返してみるが、少し顔を赤らめた旦那は

「な、何でもない!!政宗殿は某の友達であるし、そう怒るものでもなかろう。あのようなものは政宗殿にとってきっと遊びのようなもの。気にする必要はない」

なんて言ってのけた

確かに旦那と独眼竜の仲が良いのは認めるけど、独眼竜は友達以上を狙ってるから旦那にあんな事を…
あれは半分遊びで半分本気のはず
だから、俺様はめちゃくちゃ気にしちゃうんですが…

という思いを旦那に伝えようと思ったけど、ここはちょっと我慢
だって旦那がその事を知ったら混乱するだろうから
……と、独眼竜のする事を旦那がいちいち気にし始める可能性があるから

旦那は俺様の事だけを考えてくれてればよし!!

……にしても、やっぱり独眼竜に一歩負けているような気がしたから

「じゃあ!!もし、俺様が体育祭で独眼竜を負かしたら、その…俺様にチューしてくれる?」

「良いぞ」

「い、いいの!?」

「なんだ?文句あるのか?」

「い、いやいやいや…!!即答だったからびっくりしただけ」

ちょっとむちゃぶりかと思ったけど
旦那からあまりにもあっさりOKが出たから少し驚いたが
これで俺様のやる気もあがるってもんさ!!

「よしっ!!そうと決まれば早速準備しなきゃね!!」

「準備…とな?体育祭はただ体を動かせばよいのではないのか?」

俺様の言葉の意味がわからず、旦那は首を傾げた

「ふっふっふっ…。まぁ、当日を楽しみにしててよ。俺様頑張るからさ」

そう言って、俺様は不敵な笑みを浮かべた

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