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中編小説

まぁ…
俺様が話した中には色々嘘が混ざってるんだけどさ

………流石に無理矢理犯そうとしたなんて言ったら殺されるからね…


「佐助?」

そんな事を思い出して苦笑していた俺様を、旦那は不思議そうに俺様の顔を覗き込んできた

もちろん、腕の中にいる旦那は必然的に上目遣いになっているわけで…


ヤバい…
昨日あんなにしたのに…


俺様はキョロキョロと辺りを見回し
誰も居ないのを確認してから旦那をぎゅっと抱き締める

「さ、佐助ッ?」

そして旦那の唇を奪おうと口を寄せた…

「ッ痛」

のだが、どこからともなく俺様の頭に小石らしきものがぶつけられ
それは阻まれてしまう

これは絶対忍である部下の仕業以外有り得ない

くそぅ…

今は旦那に無理をさせてはいけないのだと正気に戻してくれた部下に感謝はするが…
俺様の邪魔をしやがって…とちょっぴり恨んだ



「じゃ、俺様は仕事に戻るね。何かあったら呼んで?すぐ駆けつけるから」

厠から帰って、部屋に旦那を寝かせると
俺様はすぐにそこを離れようとした

なのに旦那と来たら

「待て、佐助」

と俺様を引き止めた

先程の事もあって、俺様の下半身はちょっぴり反応を示していて
ここに留まるのは正直危ない
俺様の理性がいつ切れるかわからない

しかし、主に呼び止められたのだから無視は出来ない

仕方なくにこりと笑って振り返ると
旦那は手招きをしている

……どうなっても知らないよ…?

そう思いながらも旦那の側まで行くと

旦那は俺様の体を引き寄せ、ぎゅっと抱き締め

「佐助。某は、佐助を愛しておるぞ。今まで…お前の思いを蔑ろにしていてすまなかった。許して…くれるか?」

なんて言ってきた

確かに俺様の思いは軽く流されちょっぴり悔しかった
だけど、それは主従という関係であり、まして男同士であるという事を考えれば旦那の行為は仕方のない事だ

なのに、俺様は無理矢理旦那を手に入れようとした

謝るのは俺様の方なのに…

「旦那、俺様の方こそ…」

「佐助。それはもう良い。某を許してくれるかと聞いておるのだ」

「旦那…。もちろん…許すよ。許すに決まってるじゃない…」

「そうか…。良かった…」

そう言う旦那は俺様を抱き締める腕に力を入れた

そんな旦那の腕をそっと離して
滅多に見せない真剣な顔で旦那に告げた

「俺様は、今後一切旦那に刃向かうなんてしないから。改めて旦那に忠誠を誓うよ」

しかし、旦那は何故かくすりと笑って言った

「あれは某に刃向かったと言うのか?どちらかと言うと無理矢理抑えこんだ…」

「あぁぁぁぁっ!!!こ、細かい事は…ねっ?」

部下が見てるかも知れないとこで
旦那を無理矢理犯そうとした事までバレたら殺されると冷や汗を垂らして言うと

「だ、そうだ。皆、佐助が変な事をしようとしたらよろしく頼むぞ?」

と旦那が俺様の後ろの方へ言うと
ぞろぞろと俺様の部下が入って来た

「へっ?なっ…、なっ!?」

俺様は状況が理解出来ず、軽いパニックを起こしていると

『これ以外幸村様に無理させない為に、俺らがちゃんと長から幸村様を守りますので!!』
『長には少し反省して頂かなくては』

と俺様に笑顔で告げてくる

「おっ、お前らグルだったのか!?」

旦那と部下を交互に見て言うと

『幸村様から聞いた話と長の話が少々違うようですので』
『長はちょーっとおいたが過ぎたかなぁ…と。幸村様、長には俺らがじっくりゆっくり反省させとくんで』

「えっ?ちょ、ちょっと…」

そう言って、俺様を羽交い締めにする部下
俺様の抵抗などあっさり流される

「うむ。頼んだぞ」

そして、旦那はにっこり微笑んだ

「そ、そんなぁ…。旦那ぁぁぁ…」

俺様は部下にズルズル引きずられながら、情けない声を出してしまう

そして誓った

旦那には今後一切
絶対に刃向かわないようにしようと…

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