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中編小説

「ううっ…。佐助…。朝餉を…」

「はいっ。ただいま」

「すまぬ…。某がもっと鍛錬を積んでいれば…」

「だ、旦那が謝ることじゃないからっ。それに鍛錬とかの問題じゃないし…」


あの後、今まで我慢していたのもあって
俺様の行為は止まる事を知らなかった

旦那は俺様に愛を証明するためなのか
俺様の止まない行為をすべて受け入れた

…………その結果がこれ


「さ、佐助…。その、か、厠に行きたいのだが…」

「はいはいっ」

「なっ、何をするかっ!?」

「だって…旦那立てないでしょ…?これで連れて行った方が速いから…」

「だ、だからと言って…。こ、これではおなごのようではないかッ」

俺様の腕の中でお姫様抱っこされ顔を真っ赤に染める旦那は、立てないほど腰を痛めてしまったのだ

「まぁまぁ…。ちょっとの辛抱だからさ」

「し、しかし誰かに見られたら…」

「大丈夫。誰も旦那だって気付かないって。それに、今日は誰も旦那の部屋には近付かないように言ってあるから」

「ま、誠か…?」

「だから、さっきから人通らないでしょ?」

俺様はにっこり笑って縁側を指差す

先程からそこを通る人はいない

もちろん俺様がそうするよう言ったのだけど…

「そ、そうか…」

渋々了承した旦那は暴れるのを止めて大人しく俺様の腕に抱かれた

その状態で縁側に一歩足を踏み出すと

「ちょっと、押さないでよ」
「しっ、出てきたわ」
「きゃっ!!お、お姫様抱っこよ!?」

なんてコソコソ話す声が俺様の耳に届くが気にしない
旦那はと言えば、人がいる事にすら気付いていない

そう、俺様が言ったことを律儀に守っている理由
それは旦那がどうして部屋から出られないかの理由を知っているからだ



『ゆ、幸村様!?』
『どうなされたのでございますか!?』

無理をさせてしまったせいか
旦那は行為が終わると気を失ってしまった

空き家には体を綺麗にするための湯も寝かせる為の布団も何もないため
仕方なく旦那に軽く着物を羽織らせて城へこっそり忍び帰ろうとしたところ、任務帰りの部下達に見つかってしまったのだ

しかし、その部下達は旦那を見た瞬間何かを察したのか

『先に行って湯を沸かしておきますね』
『長は幸村様を、丁重に運んであげて下さいね』
『くれぐれもご無理をさせないように』

どこか棘があるような感じはしたが、いい部下を持った…と
その時は思ったのだ

城へ着いてすぐ、旦那を綺麗にして布団を寝かせ…軽く口付けを落としてから旦那の部屋を出ると

「長…。説明して下さい…?」
「幸村様に無理をさせたんでしょ!?」
「ずるいですよ!!長だけ!!」
「「「お前は黙れ」」」

ってな具合で部下がずらりと待ち構えていて…
俺様はこってり説教を受けた

しかも、そんな異様な光景を不審に思った誰かが話を立ち聞きしたようで…
次の日、俺様が旦那の部屋に近付かないように言いに言った時にはみんな知っていたのだった…

そして、みんな口々に

『くれぐれもあまり幸村様にご無理をさせませんよう』

と言ってきた

さすが城の主…と言うか
さすが旦那と言うか…
旦那は、城のみんなに愛されてるなぁと改めて実感させられた

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