中編小説
慶次の場合A
『あ、あの…。ありがとうございました!!』
「いーっていーって。気にすんなよ♪」
『よ、良かったらすぐ近くに海の家があるんですけど一緒に行きませんか…?』
「あー…。でも俺…ただ通りすがっただけだし…」
『って言うか…一緒に来て頂けませんか!?じ、実はそこで私の彼が働いてるんですけど…1人で見に行く勇気がなくて…。海の家の前をうろうろしていたらさっきの人達に声かけられて…一緒に入って下さるって言うから付いて来たのに…。そしたらあんな感じで…。……やっぱり、…ご迷惑ですよね…。すみません…』
と女の子はしょんぼりと俯いた
しかし、恋の話とあっちゃ
手伝うしかないでしょー♪
「なんだいなんだい♪恋の話なら、この前田慶次に任せなっ♪一緒に行こうじゃないか♪」
『ほ、本当ですか!?』
「おう♪」
そう言って海の家へ向かった
『Welcome!!ザビーの海の家』
「こ、ここかい…?」
『はい!!ここで彼が働いているんです♪』
なんだか少しいやーな予感漂う中
仕方なく女の子と一緒にその中へと入って行った
「いらっしゃ…。なぜ貴様がここにいる…?」
出迎えてくれたのは
酷く不機嫌な毛利元就
「あっ、いや…。どーも…」
へらへらと笑って返せば
元就は更に顔を歪め
「貴様如きに出す物などないが、ザビー様の為仕方ないから注文をとってやろう。我が行くまで空いてる席に座って日輪に感謝でもしているがよい」
と言い放って行ってしまった
『ず、随分と愛想が悪い人だね…』
と後ろの女の子が言うから
「知り合いだから…大目に見て」
と苦笑した
「それだけか?」
「えっ、あぁ…」
「ふんっ。使えぬやつめ。全種類制覇も出来ぬなら、来るでない」
注文を取りに来た元就は
何故かケチをつけてから去って行った
俺…いちを客なんだけどな…(笑
改めて女の子の方を向いて
「それで…彼氏ってのは…」
と聞くと、女の子はキョロキョロと店内の彼氏を探す
『あっ、うん…。どっかに居るはずなんだけど………。あっ、いた!!あれが私の彼氏なんだ♪』
そう言って指差した先にいたのは…
長宗我部元親だ
しかし、女の子の言っている本当の彼氏とは
その奥にいる華奢な男の子だった
しかし、そんな事はただ指差した先を見ている慶次にはわからない訳で…
「えっ…?彼が…君の…?」
『そう!!可愛いでしょ?♪』
「か、可愛い!?」
学校では鬼と呼ばれる元親が
彼女にとってみればただの可愛い男の子に!?
『それに、ああ見えて結構色々と巧くて…私本当にメロメロなの!!あーっ。恥ずかしい恥ずかしい!!』
「う、巧い…?」
女の子に免疫のなさそうなあの元親も
なんだかんだ言って男の子か…
『もう本当に可愛くて…。ううっ!!やっぱりもうダメ!!私もう帰る!!』
「えっ!?ちょ、ちょっと待ちなよ!!頼んだのまだ来てないけど!?」
『あっ、後はよろしく!!』
「えぇっ!?ちょ…」
「へいお待ち」
そこに現れた元親
「おめー…来てたのか。ったくよぉ…。さっきは俺を置いてっちまうなんて白状じゃねーか?まさかこんな事になるとは思ってなかったけどよぉ…。せめて一言声かけるとかよ…」
「あ、あぁ…」
「それより、おめぇ、これ1人で食うのか?結構量あるけど…」
「あぁ…」
「ん?なんだぁ?そんなジッと見やがって…」
「い、いやぁ…意外だなぁ…と思って」
「あぁ?何が?」
「いや…。お前でもちゃんとする事するんだな…」
「はっ?そりゃ俺だってやるときはやるさ」
「そ、そうだよな…」
と食い違ったまま話は進み
慶次は、元親と女の子はカップルであると思い込んだまま
「まぁ、頑張れよ!!他の奴には言いづらいだろうし…なんかあったら俺に相談してくれ♪」
とか熱く語った為
元親の頭には?が沢山飛んでいた
その後、この誤解が解けるまでに相当の時間がかかったというのは
また別の話…
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