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短編小説@
勘違い(上)
「やめろと言っているのが聞こえないか!?」

「えー…いいじゃない?同じ忍の仲だし?」

目の前で繰り広げられる
忍対忍の戦い

「ええい!貴様と同じなどと言われたくない!」

「そんなに照れるなって」

「照れてなどいない!!」

「またまたぁ…。可愛いんだから♪」

戦いの最中だと言うのに悠長に…
何をしているか…佐助…

しかし、佐助がかすが殿に恋心を抱いていることは
薄々気付いている…


だから俺は…
佐助へのこの思いを封印することを決めた…


なのに…

「貴様は最低だ!!」

と言うかすが殿の言葉に
俺のどこかでプチリとキレる音が聞こえ

「佐助に敵う忍などおらぬわ!!佐助を馬鹿にする事は、この真田幸村が許しはせぬ!!!」

なんて、叫んでしまった…

ハッと我に返ると
互いに武器をぶつけ合ったままの状態で
目を見開いてこちらを見つめていた

「な、なんだ…?」
「だ、旦那…?」

と言う忍の2人の言葉に
急に自分が口走った事が恥ずかしくなって
急いでその場を立ち去った
それはもう全速力で

後ろからは、佐助の呼び止める声が聞こえるが
そんなのに構っている暇などない


今回の佐助とかすが殿の戦いは本気ではない
ただ、いつものように

城に来たかすが殿に佐助がちょっかいを出して怒られた

それだけのことであった

だから、あの言葉も本気ではない

佐助が本気を出せば強い事は
同郷であるかすが殿が一番よく知っているはずである


だが…だからこそ…

自分の中でなんだかわからない感情が渦巻く


気持ちが悪い…


無我夢中で走り着いた先は
静かな小川だった

「……少し、頭を冷やさなければ…」

流れる汗を流すように
小川の水を手で掬って顔にかけた


冷たくて気持ちいい…


先ほどの気持ち悪さを流してくれるような…
そんな感じだ…

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あきゅろす。
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