短編小説@
感謝(上)
それは突然の事だった
『佐助!!京へ行くぞ!!』
『へっ?誰か打ちにでも行くの?俺様そんなこと聞いてないけど…』
『違う!!京の祭りとやらに行くのだ!!!』
『………はっ?』
そして
現在、本当に京へと来てしまっている
「おぉ…!!佐助!!あれを見よ!!みこしと言うらしいぞ!!」
「わ、わかったから旦那!!ちょっと落ち着いて?これでも旦那はいちを武将なんだから…ねっ?」
「何、いつもと格好も違うのだからわかりはしまい!!おっ、あれはなんであるか!?喧嘩?…楽しそうでござる…。この幸村がお相手願おう!!!」
「ちょ、ちょっと旦那!!」
思いっきり名前言っちゃってるし…
と溜め息をつく
なんでこんな事になったのか…
『なんでいきなり祭りなんか…?』
『いや…、たまたま鍛錬をしていた近くでそのような話しをしていてな!!京の祭りとは華やかでとても面白いと…』
『それで行きたい…と』
『う、うむ』
『あっそ。じゃあ楽しんでおいでよ。俺様はその間暇をもらって…』
『な、ならぬ!!』
『えっ?』
『佐助も某と共に京の祭りへ行くのだ!!』
『えー?なんで俺様が?』
『さ、佐助がいないと意味がないのだ!!』
あっ
なんかキュンと来た
と言う事で
その言葉に
『しょうがないな…』
なんて言いつつも内心ルンルンで付いて来たのはいいんだけど…
結局ただのお守りですよね…
なんて、ちょっと涙が出そうになるのを堪えて
突っ込んで行った旦那を追っかけた
「はい。これ食べたら帰ろうね?」
なんとか喧嘩に紛れていた旦那を
甘味所で団子を買ってやるからと言って引き剥がした
「何を言っておる!!まだ見終わっていないではないか!!」
だが、旦那は団子を両手に持ってなお
まだ物足りないと駄々をこねた
はぁ…と溜め息をつくと
なぜか旦那の顔が一瞬曇ったように見えた
ん?と旦那の方を向くと
「それにしても、ここの団子は美味いでござるな!!土産に買って帰ろう!!」
とか満面の笑みを浮かべていた
「そうだねぇ」
旦那につられてへらりと笑ってから
さっきのは見間違いか…
疲れてんのかな?
と小さく苦笑した
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