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短編小説@
竹と狐(下)
『離せッ!!某をどうする気だッ!!』

いやぁ…
別にどうかするつもりはないんですけど…

なんて思いつつも
足を止める事はしない

その気持ちが伝わったのか、最初は暴れていた小さな主も
次第に抵抗しなくなった


『……ここは…』


向かった先は
すぐ近くの竹藪
城に戻ろうとすれば簡単に戻れる距離だ

小さな主をそっと下ろすと
主はじっとこちらを見つめてきた


もしかしてバレた…?


ふぅ…と溜め息をついて仮面を外そうとした時だった


『もしかして…狐の物の怪か?』


ん?
あら?
俺様だって気付いてないの?
取りあえず、にこりと笑って返す

『……某の事…連れ出してくれたのか…?』

何故だか、泣きそうな主
いやだったのか?とちょっと慌てると
主は小さく

『ありがとう…』

と呟いた

『…あなたなら強くなれるよ』

泣いてる主にそっと耳打ちしてから
自分の仮面を被せる

主が目を閉じている間に
目の前から姿を隠した

目を開けた主はキョロキョロと辺りを見渡していたけれど
まだ姿を現せないんだ…

頑張れ…

心の中で囁いた




―――そして現在…


「参りますぞ!!!天狐仮面殿!!!うおぉぉぉぉ!!!!」

バキッ

「うっ…」

ドサッ

「や、やりましたぞ!!親方様ぁぁぁ!!!」

昔の事などすっかり忘れ
にぶーいまま成長した旦那は
天狐仮面が俺様だとはわからないらしく
容赦なくボコボコにするのであった


………あー、やんなっちゃうね…全く



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