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短編小説@
レクイエム
◇死ネタ
◆シリアス
◇流血あり

本当に真っ暗ですよ?

大丈夫な方はお進み下さい




























「佐助、今日も…勝利は目前ぞ…」

「そうだね…旦那」


雨が降る
真っ赤な海で


「……すまない…」

「なんで、旦那が謝んの。これは戦。やらなきゃやられるんだから」


苦しそうにもがく
哀れな雑兵

やがては全ての時間が止まる


これも悲しき時代に生まれたがゆえか…


「烈火」

『ぎゃぁぁぁ…』


これは本当に正しいことなのか…?

そんな事を考えている暇などない

やらなきゃやられる
それがこの世の定めなら…

逃げる雑兵を追いかけ、斬る

背を向ければ
命はない



わかっていたはずなのに…



「旦那ッ!!!!」


ドンッという鈍い音が背後に響く


大切な人の声と共に


振り向いた先には
一目でわかる迷彩を
真っ赤に染めた彼が立つ


「ははっ。ちょっとしくじった…」


彼は笑う
おかしそうに、悔しそうに

そして、視界から彼は消えた


「さ…すけ…?何を寝ておる…?…まだ…終わってなどいないのだぞ…?」


抱き上げた彼は
意外にも軽く
暖かかった…

いつもそばにいてくれた
大好きな彼

いつも守ってくれた
大切な彼

やがて彼から暖かさが消えた
彼の時間は止まった
静かに、静かに


自分の何かがキレる音がした


「貴様ぁぁぁぁ!!!!」

『ひ、ひぃぃぃ…』


ドンッ
生き残った雑兵がまた鈍い音をさせた



いつもと違う
ドクンドクンと鳴り響く煩い音

いつもと違う
赤い色



『旦那…』

『なんだ?佐助』

『旦那の事は…絶対に俺様が守ってみせるから…』

『な、何を言っておる!!某はそんなに弱くなどないぞ!!』

『わかってるよ。でも…俺様は旦那が大切なんだ…だから』

『そう何度も言わなくてもわかっておる。何かあったらすぐに撤退、でござろう?』

『うん…。…無茶しないでね』

『あぁ。約束しよう』

『絶対だからね』


目を伏せれば浮かんでくる
あの幸せだった時間が
あの優しい時間が


「すまない…、佐助。約束…守れなかったで…ござる…」


うまく動かない体
それでも求める彼の元へ

「そ、うだ…。佐助は…こ、の歌が…好き、だったな…
解き放て、炎…この、技で…」


『舞い散らせ命 Do not think.Just feel』

『佐助、それは何の歌なのだ?』

『んー?俺様の大好きな人の歌』

『大好き…とな』

『あれれ?旦那…もしかしてやきもち妬いてる?』

『な、そ、そんなわけ…』

『ははっ。俺様大感激!!』



「紅蓮に逃げ惑い…」

彼の大好きだった歌

「とどめく悲鳴…」

彼に捧げる鎮魂歌



「佐助…。今ゆくぞ…」

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