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短編小説@
大切な貴方へ…(上)
◇伊達主従の物語
◆こじゅ政



それはある早朝の事

『はっ!!やぁっ!!』

「もっと気合い入れて声上げろ!!」

いつものように朝稽古を付けてやっていた時の事だった

「朝から厳しいねぇ…。小十郎は」

『筆頭!!おはようございます!!』

「Oh!!今日もcoolにいこうぜ?」

いつの間にか
政宗様が稽古場の入口に立っていた

「ま、政宗様!?いつの間にいらしていたのですか!?」

「今来たとこだぁ…。俺も仲間に入れてくれよ。小十郎」

「はっ。では…、お前ら!!俺は政宗様と稽古を…」

と言おうとした…が
先ほどまで目の前で稽古をつけていた奴らはいつの間にか姿を消していて

『筆頭!!俺に稽古つけてくだせぃ!!』

『おい!!抜け駆けすんな!!筆頭!!俺と!!』

『いや!!俺と!!』

と、政宗様の周りを取り囲んでいた

そんな光景に
つい笑みがこぼれた

みんなから信頼を受けている
大切に思われている証拠

このまま平和に過ごしたいものだ…と

「上等上等!!順番に相手してやるから…他の奴らは小十郎の指示に従え」

『わかりました!!絶対ですよ!!』

「小十郎!!後は任せたぜ?」

「はっ、お任せ下さい。お前ら!!政宗様が直々に稽古をつけて下さるんだ!!恥ずかしくねーようにしっかりやれよ!!」

『はい!!』

「じゃ、行くぜ?Are you ready?」

『はい!!やぁぁ!!』

しかし、
事件はすぐ起きた
政宗様が稽古を始めたのを確認し、他の残ったやつらに指示を出してる時だった

「お前は少し軸がズレやすいな…、ここをこうして…」

『ひ、筆頭!?筆頭!!』
という声と
ダァンッ
という、人が倒れる音が道場中に響いた

「どうした!?何があった!?」

あまりの急な出来事に
何が起きたかわからなかったが
音のする方に走って行くと
そこには顔が真っ青な政宗様が倒れていた

「てめぇ!?政宗様に何をしやがった!?」

先ほどまで政宗様と戦っていたであろうやつの胸倉を掴んで、壁に打ち付けた

『お、俺は何も…』

「あぁ!?なんもしてねぇのになんで政宗様がこんな青い顔して…」

すると、周りにいたやつらが
そいつを庇うように俺を羽交い締めにしようとした

『か、片倉さん!!本当にこいつは何もしてねぇよ!!』

『そ、そうなんだ!!俺達4人の相手をして、次はこいつって時に急に倒れちまって!!』

「あぁ!?んな嘘が…」

『う、嘘じゃねーんです!!し、しかも…なんか今日の筆頭、おかしくなかったか?』

『あぁ…確かに剣筋がいつもと…』

そこまで言われて、冷静さを取り戻す

って事は、政宗様はここに来た時から…

「チッ…」

政宗様の具合が悪かった事に気づけなかった自分に腹を立て
近くの壁をダァンッと叩いてから

「俺は政宗様をお部屋へお連れする。てめぇらは稽古を続けろ」

『だ…だけど』

「心配すんな…。政宗様は大丈夫だ」

俺は政宗様をお姫様抱っこして
部屋に運んだ

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