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短編小説@
勘違い(下)
「そう言えば…久しぶりだな…」

子供の頃はよく小川で水遊びなどをしたものだ
その隣には必ず佐助がいて…

そこまで考えて
頭をぶんぶんと横に振った


もう、俺は子供ではない…
佐助には佐助の道があるのだ…


「少し、入ってみるか…」

履いていたものを少し離れたところに脱ぎ捨てて
小川に足を浸ける

「冷たいな…」

火照った熱を冷ましてくれる

気持ちいい…


もう少し奥へ…


川の中部へと足を進めようとしたその時


「旦那!!!!」


バサッという音がしたかと思うと、いつの間にか宙に浮かんでいた
いや…正確には、佐助に抱えられ空を飛んでいた…と言うべきか


「さ、佐助!?」

「何してんのさ!!死ぬ気!?」

「い、いや…そういうつもりは…」

佐助はため息をつき近くの陸地に下ろすと
急にギュッと抱き締めてきた

「……さ、佐助…」

「良かった…」

「な、何が…」

「身投げしちゃうのかと思って…。一瞬、ほんっと心臓止まるかと思うぐらいヒヤッとした…。良かった…」

佐助は心底安堵したように呟いた

「佐助…」

俺のこと…
心配してくれたんだ…

それだけで、俺は……


「旦那…。気持ち悪いって思うかも知れないけど…、俺様は旦那の事…好き、なんだ…。旦那が大切なんだ…。でも…男同士だしね。気持ち悪いよね。ごめん。俺様、もう旦那とは一緒には居られないや…。だから…」

「ちょ、ちょっと待て!!!」


今…佐助はなんと言った…?

好、き…?
大切…?
男同士…?


「そ、それって…」


佐助の顔は真っ赤になっていた
この反応は…

何も考えず、ただ
目の前にいる愛おしい人に抱きついた

「えっ、だ、旦那!?」

「バカを申すな!!お前は俺とずっと一緒にいるのだ!!お前が居なくなるなど…考えられるか!!」

「えっ…それ、って…?」

「さ、最後まで言わすなッ!!馬鹿者ッ!!」

嬉しくて泣きそうな顔を
目一杯笑顔に変える

「旦那…」
「佐助…」

『大好きだよ…』

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