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短編小説@
ある昼下がり
「佐助ぇぇぇ…。どこにおるのだ…?佐助ぇぇぇ…」

まだ日の高い昼下がり
城中に響き渡る主の声

「旦那!?どうしたの!?」

慌てて駆けつけると
今にも泣きそうな顔をした主

「佐助…」

ついドキリと跳ねる心臓を抑え

「なになに?俺様が居なくて寂しかった?」

なんて言いながら
ぎゅっと抱き締めようと手を伸ばす……が

「お、お館様が某の団子を…」

「………はっ?」

その手は主に触れる前にピタリと止まる

聞き取れなかったわけではない

ただ…
聞き間違いであって欲しかった

だって今はどう考えても
あまーい雰囲気にいっちゃう?
ってな雰囲気だったでしょーが!!!

俺様のこの反応、間違ってないよね!?

そんな俺様の気を知らない主は、べそをかきながら続けた

「お館様が…、某が後で食そうと残しておいた佐助の団子を…団子を…食べてしまわれたのだぁぁ…」


いやぁ…
そんなこと俺様に言われたってさ?


「………はぁ…。そんな事…」

「そ、そんな事とはなんでござる!某にとっては大きな問題でッ…」

「わかったわかった…。また作ればいいんでしょ?そんな目に涙溜めて言うことじゃないでしょーが…」

「だ、だが…」

元服した男が情けない…と呆れたように言うと、主は少し顔を赤くして俯いた

ん?
なんだこの反応は?

「旦那?」

「…だが…、…ッ……のだ…」

「えっ?」

その声が小さすぎて聞こえなかった

潤んだ目に真っ赤な顔の主は
顔を上げて上目遣い気味で言った

「さ、佐助が作るものは…某は…少しでもいいから…、必ず口をつけたいのだッ…」

更に顔を赤くした主は
また泣きそうになった

「なのに…お館様が…」


………か、可愛いッ
俺様今キュンとした!!!
あぁぁぁぁ…
ヤバい…


「……佐助…?聞いておるか?」

主は首を傾げて
俯いた俺様の顔を覗きこんできた

チュッ

その隙を狙って
主の唇に接吻する

「なっ、なな、何を!?」

焦る主ににこりと笑って

「今はこれで我慢してよ。すぐに団子作ってあげるからさ?」

と言うと

「は、破廉恥でござるぅぅぅぅ!!!!!」

ってどこかへ走り去ってしまった
あぁ…
まったく…

この先が思いやられるな…とか思いつつも

「ごちそうさま」

と満面の笑みを浮かべた

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あきゅろす。
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