他版作
古泉一樹の告白
※古キョンです。
「一発やらせてくださいませんか」
にこにこと笑うこいつに、俺はこいつの頭を盛大にカチ割ってやりたいと思った。
「あ〜…何が」
一応問い返してみる。
確認は大事だ。
でも俺は、すぐにその選択を後悔することになる。
「僕は あなたと セックスが したい です。性交でもいいですが」
…聞かなきゃよかった。
子供に言い聞かせるようにゆっくりと、わざわざ言葉を区切って懇切丁寧に答えてくるこいつに頭痛を覚える。
「…俺もお前も男だが?」
一応、そう一応反論を試みる。
「そんなの知ってますよ。男同士でもセックスは出来ます」
知らなかったんですか?
嫌味なくらい整った顔が、馬鹿にしたように(少なくとも俺にはそう見えた)微笑んだ。
「何でまたそんな奇天烈なことを思ったのか、俺はその理由が知りたいね」
机の上に頬杖をついて、投げやりな気持ちで目の前のエセ笑顔を見る。
組んだ両手に顎を乗せた古泉は、女子ならキャーキャー言うんだろう笑みで微笑んだ。
「あなたの夢を見たんです」
「…はぁ?」
何かヤな予感が。
「あなたのいやらしさと言ったらありませんでした。瞳に涙を浮かべながら、僕の〇〇を締め付けて離さなかっ―」
放送禁止用語を笑顔で話すな!
「ただの夢だ夢っ」
今日は墓穴ばっかり掘ってる気がする。
若干上体をのけ反らせつつ言い捨てると、同じだけ身を乗り出した古泉が俺の耳元に顔を寄せた。
って顔が近いっ!
「あれ以外あの夢が忘れられないんです。ほら今も、思い出すだけでも下半身が」
それ以上は言うな。
「ですから是非僕と、同衾していただきたいのです」
男同士のセックスは癖になるそうですよ?
俺は溜め息を吐いた。
「あのなぁ…」
「はい?」
にこにこと古泉が俺を見る。
「素直に好きって言えよ」
一瞬きょとん、とした古泉は(しかしこういう顔もカッコイイとはムカつくね、)次の瞬間にはふわりと微笑んだ。
「好きです。キョンくん」
初めからそう言えよ…。
何もかも回りくどいんだよ、お前は。
目の前の整った顔に軽く合わせるだけの口付けをすると、幸せそうな顔をしたエスパー少年はにっこりと笑みを浮かべた。
「キョンくん、今晩僕の家に泊まりに来てくださいね」
待ってますから。
…訂正。
こいつはこういうところだけ、無駄に直球だ。
2009.9・4
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