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シリーズ
おいでませ!ボカロ家族。〜初音さん&鏡音くん真夜中遭遇編〜
※ほんのりレンミク風味です。








眠い目を擦って、ベッドから起き上がる。

何だか目が覚めてしまった。

隣のベッドでスヤスヤと寝息を立てるリンを起こさないよう静かにベッドを降りると、部屋のドアをカチャリと開けた。


「あれ、ミク姉…?」

小さく口を開く。
とりあえず何か飲もうと居間に行くと、チョコンとソファに座っているミク姉。
暗がりでもパジャマを着て髪を下ろしているのがわかって、普段とは違う姿に少しドギマギする。

「レンくん、ごめんね。起こしちゃったかな」

俺に気付いて笑うミク姉の笑顔が少し、不自然で。
俺はキュッと唇を引き結び人ひとり座れるくらいの距離を開けると、ポスンとミク姉の隣に腰を下ろした。

「もし何かあったら言ってよ。俺じゃ頼りにならないかもしれないけど…」

後半はモゴモゴとなる。
ああホント、俺って情けない。

「ありがとう。レンくん」

優しい声に思わずミク姉の方を見ると、ミク姉が嬉しそうに笑っていた。

「どういたしまして…」

呟いて顔を反らす。
なんか髪を下ろしたミク姉って、知らない人みたいだ。
自分の赤く染まった頬には気付かない振りをした。

「なんかね、明日のライブのこととか考えてたら眠れなくなっちゃったの。考えても仕方ないのにね」

えへへ、と膝を抱えて笑うミク姉をチラリと見上げる。
俺はただ、ミク姉の話に耳を傾けていた。

「でもレンくんと話してたら元気出ちゃった。みんなもいるんだから、何も怖くないよね」

安心したように笑うミク姉に、何だか俺も嬉しくなる。

「ミク姉にはメイコ姉も頼りにならないけどカイ兄もリンもいるんだから、大丈夫だよ」

気恥ずかしくてカイ兄を悪く言っても、本当は頼りになることを、ミク姉も知ってるから。

「うん。そうだ…ね…」

ふとミク姉の声が聞こえなくなったと思ったら、ミク姉が膝に顔を乗せてスースーと寝息を立てていた。

…マジ?

「やっぱり緊張しちゃうよねぇ」

その時後ろから急に声が聞こえて、俺は息が止まりそうなほど驚いた。

「っ、カイ兄っ!?」

慌てて後ろを振り返ると、カイ兄がソファの背凭れに両肘をついていた。

「僕から言っても大丈夫って言われちゃう気がしてねー。レン君のおかげだね、ありがとう」

嬉しそうに頭を撫でられても、全然嬉しくない。
…何、カイ兄には全部お見通しだったってこと?

「じゃあ明日も早いから、部屋に運ぶね」

ヒョイッとカイ兄が眠るミク姉の体を抱き上げる。

何か今、すごく悔しい。

「レン君も明日ミクの応援に来てくれるんだから、早く寝ないとね」

おやすみ、と笑ってカイ兄はミク姉の部屋に向かった。

「…はー」

ズルズルとソファに沈む。
とりあえず目下の目標(標的)は、カイ兄な気がする。






2009.12・12


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あきゅろす。
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