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 もしも運命というものがあるのなら、僕はもう一度君と出会いたい。
 今より遠い過去も未来も、いつも君と一緒にいられたのなら、僕にとってそれが何よりの幸せだから。
 『愛している』
 簡単に言葉にすれば陳腐な台詞だけれど。
 ごめんよ。今の僕には、それ以上の言葉が浮かばない。

 ――君を愛している。





LOVERS






 暗い顔で家に戻った僕を見て、彼女は重苦しいため息をついた。
 「……またなの?」
 「ああ。これでもう何人目かな」
 答える僕の声も重い。
 「ついこの間まであんなに元気だったのに――」
 彼女は涙で言葉を詰まらせる。
 僕は彼女の傍に寄ると、彼女の細い肩をそっと抱き寄せた。
 「仕方ないよ。この病気を治す方法どころか、原因さえ分からないんだから」
 慰めにもならない言葉を吐く無力な僕。
 多くの仲間が死んでいくのを、僕達はただ黙って見ているしかない。
 「どうしてこんな目に遭うの?」
 振り絞るように吐き出された問いは、僕に向けたものでも誰に向けたものでもなく、おそらくその答えを知る者は誰もいない。
 僕達は本当に何て無力なんだ。
 やるせなさに、僕は無言のまま顔を顰めた。

 もうどれくらい前のことになるかは覚えていない。何が始まりだったのかも定かではない。
 けれど明らかに僕達は『滅び』へと向かっているのだ。
 世界中で起こる異常気象や自然災害、そして蔓延する原因不明の伝染病。
 太陽は容赦なく大地を焼き、緑の森は見る見るうちに砂漠と化していった。そうかと思えば、今度は厚く黒い雲が地表を覆い、一週間以上も雷雨が降り止まない。
 次々と襲い来る洪水に地震。挙句の果てには、すべての土が冷たい氷に姿を変えた。
 (どうかしてしまったんだ、この星は)
 誰もがそう思っているに違いない。

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