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D
暮れてゆく空はとても綺麗で、でも、なんとなく淋しくて。
その先は、この世ではないどこか遠いところへ続いているみたい。
私に見える世界のずっとずっと先。あの向こうの見えない世界まで。
あなたのいる、その場所まで。
私とあなたは、もう一緒に歩くことは出来ないけれど。もう二度と、あの川べりを一緒に歩くことは出来ないけれど。
思い出の中で、私たちはどこまでもどこまでも歩き続ける。
夕暮れの中を並んで歩いて行く。笑いながら。
「永遠なんてない」とあなたは言ったけれど、私はそうは思わない。
あなたを好きだと思う気持ち。それから私の中のあなたとの思い出のすべて。
たぶん私がいなくなった後も、それは残り続けると思うよ。
たぶん、永遠に――。
そのために今、私はここにいるんだから。
あなたを忘れないためにも、私は生きて行くんだから。
……ね。そうでしょ。
《おしまい》
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