旅人シリーズ
J
・アラストル…魔界の法と秩序を管理する刑執行長官。使い魔は『夜の鳥』カルキス。
・リリス…吸血鬼じみた女の悪魔。アダムの最初の妻とも言われる。
「そんな馬鹿な……」
僕は呆然と呟いた。
自分の出会った小鳥と男、それにあの干物。彼らは本当にここに書かれているようなものなのだろうか。もしそうだとしたら、知らなかったとは言え、自分は悪魔などと関わりを持ってしまったということになるのか。
かすかに身震いしながら、額に滲んだ冷や汗を拭おうと、僕はポケットからハンカチを取り出す。そして、ハンカチを広げようとして、そこに何か文字が書かれていることに気がついた。
『刑執行長官の名にかけて、借りは必ず返す』
流麗な文字でそう綴られた後に、かの人物の名前がくっきりとサインしてあった。
「嘘だろ」
契約を記したハンカチを手に顔面蒼白になった僕の耳に、
「ルルル……」
どこからともなく美しい歌声が聞こえてきた。
Fin.
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