旅人シリーズ
〃 F
僕は旅をする。
見知らぬ街。そこでは誰一人僕のことを知らない。解放感にも似た孤独感。
時には不安になることもある。時には心細くなることもある。
僕を待ってくれているものたちのいる場所を懐かしく感じる時もある。
しかし、そんな状況に自分の身を置きながら、それでも僕の心が寂しく沈むことはない。旅をすることをやめようとは思わない。
それは喉の渇きにも似た抑え切れない衝動で、僕にとって旅をすることは呼吸(いき)をすることと同じだ。
いや。僕にとって『旅』というのは、それ以上の意味を持っているのかもしれない。
なぜなら僕は知っている。
いま僕が歩く道、この先には未来が待っている。
この道の先に、僕の大切なものが待っている。
あてのない旅ではない。
そして、僕は真に孤独ではない。
いつか君に出会える日まで。
僕はずっと旅を続けるだろう。
Fin.
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!