オリーブの木の下で
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しかし、
(あ――)
ココは、先ほどの黒髪と金髪の青年たちと『猫目堂』と言う名のお店のことを思い出した。
もしかしたら、このリボンと羽は、彼らがココにつけてくれたのかもしれない。
「あのね、莉子……」
ココがそのことを莉子に話そうとしたとき、莉子がその羽をそっとココの首もとのリボンに戻した。
「莉子?」
ココは不思議そうに莉子を見つめる。
莉子は何とも言えない優しい微笑を浮かべると、そっとココの頭を撫でた。
「『いつまでも見守っているよ』って、本当だったのね」
「え?」
ココはますます不思議そうに莉子を見つめた。
「ねえ、莉子。何のことを言ってるの?」
しかし莉子は、そんなココに、笑いながら首を振るだけだった。
「ううん。なんでもない」
「?」
ココはまったく訳がわからなかったが、それ以上追求するのはやめることにした。莉子がとても幸せそうにほほ笑んでいたので、それを見ているとココもとても嬉しかった。ココにはそれだけで十分だった。
ココは莉子の瞳をじっと見つめると、改めてこう言った。
「ただいま、莉子」
「おかえり、ココ」
そうこたえて、莉子もにっこりと笑った。
虹の彼方に、幸せがあるの。
それは決して目に見えないけれど、とてもとても大切なもの。
虹の彼方で、幸せが待っているの。
でも、本当は、それはいつもあなたのすぐそばに―――
《おしまい…?》
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