オリーブの木の下で
G
「ココの身に起きた不思議なこと、これってもしかしたらカイトからの贈り物かもしれない」
「え?なんで?どういうこと?」
驚く私に、莉子は困ったように首を傾げる。
「あの羽ね、初めてココと出会った日にカイトからもらったものなの。自分はもう一緒にいられないけれど、その分ココのことを大切にしてあげて、って。自分の妹になる子なんだから、って」
「……ねえ、カイトって今はどこにいるの?カイトも人間語を話せる猫だったの?」
私が訊くと、莉子はゆっくりと首を振った。それから私の頭をひと撫ですると、その手を窓のほうへ向けて青い空を指さした。
「カイトがいるのはね、あそこ」
「……」
「きっと、ココの兄弟たちと同じ場所にいると思う」
私はじっと莉子の顔を見つめた。莉子はやわらかくほほ笑んでいる。
「ねえ、莉子、私のこと気味悪くない?」
「どうして?ココと話が出来るようになって、私はとても嬉しいよ?」
「じゃあ――、じゃあ私、こんな化け猫みたいになっちゃったけれど、ここにいていいの?莉子と一緒にいていいの?」
今にも泣きそうになりながら、私はそう莉子に尋ねた。
すると莉子は一寸だけ驚いたような顔をして、次には私のことをぎゅっと抱き締めてくれた。
「馬鹿ね、当たり前じゃない」
「――」
「ずっと……、ずっと一緒にいようね。大好きだよ、ココ」
――私もだよ。私も大好きだよ、莉子。
そう言いたかったけれど、声にならなかった。
私はただ莉子の腕にしがみついて、ごろごろと喉を鳴らしながら、莉子の胸に額をすり寄せた。
ありがとう、莉子。
大好きだよ。
《おしまい…?》
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