オリーブの木の下で
F
「ココ……?」
「いいよ、気の済むまで殴ってくれても。私、覚悟はできてるから」
「ココ。あなた、どうして言葉を喋ってるの?」
「は――?」
私はキョトンとして莉子を見つめた。
莉子は何だかとても奇妙な顔をして私を見つめている。
「莉子、どうかしたの?」
「どうかしたのは私じゃなくてあなたよ、ココ。さっきから、どうして人間の言葉を話しているの?」
……え?
……は?
はあぁーーーっ?!
「喋ってない、喋ってないよ。私、普通に鳴いてるだけだよ」
慌てて首を振る私の顔を、莉子はきゅっと両手で挟んだ。
「ううん。さっきから人間語で話してる。ココと私、ちゃんと話が通じているじゃない」
「……」
そ、そう言われてみれば――!!
私は今度こそものすごい衝撃を受けて、不覚にもそのまま気を失ってしまった。
気がつくと、私は莉子のベッドの上にいた。すぐ隣に莉子が座っていて、私の体を優しく撫でてくれている。
「莉子」
私が声をかけると、莉子は私を見て安心したようにほほ笑んだ。
「気分は悪くない?どこか痛い所は?」
「ううん、平気」
「そう。良かった」
「……」
やっぱり私、人間語を喋っているみたい。いったいどうしてこんなことになっちゃったの?私――私、これからどうすればいいの?
そんな風にパニックになっている私に、
「あのね、ココ。あなたが気を失っている間にいろいろ考えたんだけど……」
落ち着いた口調で莉子が話し出した。
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