オリーブの木の下で @ きらきら光る、お空の星よ。 一番左は誰の星。 いち、に、さん、し……。あれは私の兄弟たち。 きらきら、きらきら。 高いお空のてっぺんから、私に向かって手を振るの。 ――ココ、今日も元気かい? 【オリーブの木の下で】 〜 そもそものはじまりのお話 〜 私の目がはじめてはっきりとこの世界を見たとき、世界は緑一色だった。 私の小さな体の何倍も何十倍もあるオリーブの木。その向こうに広がる山々。足元にはふくふくとした芝生。その先をたどっていくと、風に揺れるタイム畑。 緑、緑、緑……いろんな種類の緑色の洪水。 それから首をぐっと伸ばして真上を見上げると、ソーダ水みたいに真っ青で透明な空が広がっていた。あまりにも広すぎて、一度に全部は見られないくらい。 私は大きな空の隅々まで見回そうとして、バランスを崩してその場に転んだ。 「……」 柔らかな芝生の絨緞(じゅうたん)が、私の体を優しく受け止める。 そしてすぐに、それよりももっと優しくて柔らかい手が、私をそっと包み込んでくれる。 「大丈夫、ココ?」 優しい優しい声。大きな顔が心配そうに私を覗き込む。 「大丈夫だよ」 私はそう言うけれど、彼女に私の言葉は通じない。彼女の耳には、私の声はただの鳴き声にしか聞こえない。 「大丈夫、心配しないで」 私はもう一度言って、彼女の手をぺろぺろと舐める。すると彼女は嬉しそうに私に頬ずりをする。 「大好きだよ、ココ」 ――うん。私もよ。 [次へ] [戻る] |