猫目堂
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神儺さまへ、感謝をこめて・・・
◆特別企画短編◆
*C*L*O*V*E*R*
〜 銀色夜話 in 猫目堂 〜
「お疲れ〜」
その場の雰囲気にそぐわない何とも間延びした声をかけられ、嵐(らん)は思わず大きなため息をつく。
かすかに視線を上げて声を発した相手を見れば、車に寄りかかってのんびりと紫煙を吐き出している親友の姿が目に入る。まったく暢気なものだ。
寺の坊主とも思えない派手な金色頭に、文句の一つも言ってやりたくなるところだが、それも面倒くさいのでやめておいた。
考えてみれば、大学時代から、こいつには厄介事ばかり押し付けられている。それに対して嵐がどんなに本気で抗議してみても、一度だってこの男がまともにとりあったことがあっただろうか。もちろんそんなことあるわけない。
それでも、何も言わないのも癪なので、嵐はため息混じりに親友の顔をじっと見つめた。
「明良(あきら)、お前さ…」
「ん?」
「最近、やたらと厄介なモノばかり持ち込んでこねえ?」
「んー?そうか?」
「あんまり人のことをかいかぶるなよ。本気でヤバイやつだったら、俺にはどうにも出来ないぞ」
真剣に言うのだが、
「まあ、なんとかなるっしょ」
ニカッと笑ったその顔に、嵐はかすかな頭痛さえ覚えてしまう。
普通の人間には見えないものが見える。彼岸のものたちの声を聞くことができる。
この特殊な能力のせいで、嵐は、今までどれほど多くの面倒に巻き込まれてきたことか……。
由緒正しい寺の跡取り息子のくせに、そう言った能力の片鱗も持ち合わせていない――むしろ霊的不感症ですらある明良に、そんなことを言っても言うだけ無駄だということは、長い付き合いで十分承知しているものの、さすがにこうハードな仕事が続くと鬱憤がたまってきてしまう。
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