[携帯モード] [URL送信]

猫目堂
晴れた空には天使が見えるA
 あの事故以来、絵梨香たち家族は変わった。
 妙な言い方かも知れないけれど、あの事故のおかげで、みんなが本当に大切なものに気付けたのかもしれない。

 絵梨香はポケットから携帯を取り出すと、最高の笑顔でVサインをした自分をカメラにおさめた。
 それから慣れた手つきですばやく文章を打ち込み送信する。

 「なあに、自分の顔なんて撮って。いったい誰に送ったの?」
 呆れたように苦笑する母親に、絵梨香はにっこりと笑って見せる。
 「ヒ・ミ・ツ」
 そう言いながら、絵梨香は携帯画面を確認する。
 [メール送信しました]の文字。

 あれ以来一度もメールが来たことはないけれど、このメールはきっと無事に届いているのだろう。
 雲の上にいる大切な友達に。



 『都子ちゃんへ。 私は今日も元気です。 絵梨香』







《おしまい》

 


[前へ][次へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!