猫目堂
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とある山奥の小さなバス停の近くに、小さなお店があります。
その扉には、こんな看板が・・・
《喫茶・雑貨 猫目堂》
『あなたの探しているものがきっと見つかります。
どうぞお気軽にお入りください』
さあ、扉を開けて。
あなたも何か探しものはありませんか?
【猫 目 堂 2nd】
― ダンデライオン ―
小さなレンガ造りの建物の前に、一人の少女が立っている。
「…『喫茶・雑貨 猫目堂』……ここだよね」
少女は少しためらいながら、木の扉にそっと手をかけた。
カランカラン……
ドアベルの音がして、遠慮がちに扉が開けられる。
少女は店内に足を踏み入れると、物珍しそうにきょろきょろと周りを見回した。
「いらっしゃいませ」
綺麗な顔をした若い男が二人、カウンターの中から声をかけてくる。
二人の店員は、いつもと変わらない笑顔でその小さなお客を迎えた。
「ご注文は何にしますか?」
声をかけられて、少女はゆっくりとカウンターに近づく。そして店員たちにおずおずと話しかけた。
「ラエルさんとカイトさんですか?」
いきなり少女に尋ねられて、二人は少し驚いたように顔を見合わせる。
この少女と以前に会った事があっただろうか?
戸惑う二人に、少女はちょっと首を傾げる。
「あの…ここ『猫目堂』ですよね?」
「ええ。そうですよ」
金髪の店員――ラエルが優しい口調でこたえる。
「ああ、良かった。もしかして間違えたのかと思っちゃった」
少女は安心したように息を吐くと、上着のポケットから真っ白な羽を取り出した。
「これは……」
羽を受け取ったラエルは、しげしげとその羽を観察していたが、
「なるほど。…そういうことか」
やがて納得したように笑顔を見せた。
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