[携帯モード] [URL送信]

Delusions ーshort storyー
好きだなんて言わない。(親分子分)

親分子分です。ちょこっと黒分が出てきますw



「好きだ。」なんて絶対に言ってやらない。

だって、そうしたら負けな気がするから。



ある日の夜――…

俺はアントーニョに質問をしてみる事にした。

「なぁ…」

「ん、どないしたん?」

「好きか?」

「へ、何が?」


この鈍感が。察しろよ。


「…俺。」

「うん、好きやで。…本気でどないしたん?」

アントーニョはにこっと笑った。


「じゃあさ…」


俺はアントーニョを柔らかいベットの上に押し倒した。


「………これでも?これでも…好きなのかよ?」


アントーニョは驚いたかのような表情を浮かべた。 その後、無表情になった。

「………好きやで。」

「……そうか。」

俺は少しだけ、アントーニョの無表情が気にかかった。


「でもな、ロヴィ…」

「?」

「お前、ちょっと生意気過ぎんねん。
そんなん可愛くないわ。」

「へ…?」

アントーニョはバッと起き上がって俺を押さえ付け、さっきとは真逆の体勢となった。


「あ、アントーニョ!?」

「あと少し…従順になったらええんやけどな。」

アントーニョは俺を獲物だと言うかのように見つめ、にやりとほくそ笑んだ。

「い、いきなり何だよ…!ジョークがキツ過ぎ…」

「俺は本気やで…?せや、いっちょ調教したろか。」

するとアントーニョは強引にキスをしてきた。

いつもとは違う、強くて冷たいキス。


「…アン…トーニョ…?」

「相当驚いとるようやけど…俺は元々、こんなヤツなんやで?」


アントーニョは無表情のまま服を脱がせ始めた。

俺はとても怖かった。今のアントーニョはいつものアントーニョじゃない。


「お…おい!これはどういう事なんだよ、アントーニョ!」

「何って…そのまんまやろ?お前が誘ったことやん、お前かてヤる気があったんと違うか?」

「そっ…それは…」

違う、俺が望んでいるのはそういう事じゃない。

ただ、あの状況下でも『愛してるで』って…いつもみたいに言って欲しかっただけだったんだ。

また、いつもみたいに…明るく微笑んで。


アントーニョは俺の首筋にキスのような、噛み付くような事をしながら言った。

「………じゃあ、最後に一つだけ訊くわ。
何であまり抵抗しないん?きっといつものお前なら必死に抵抗するはずやけど…」

「…き、だからだよ。」

「え?」

「お前の事が…好きだからだよ…お前がこれで満足するなら、それでいい…。」


……ちくしょう、言っちまった………


気が付くと目には涙が溜まっていた。


「……………………」


アントーニョは暫く沈黙した後、俺の首筋から唇を離し、にこっと笑った。


「お前の負けや!」

「……………え?」

俺はアントーニョの突然の発言に唖然としていた。


「すまんな…ロヴィが自分から好きやって言うてくれへんからつい、やってもうたんや…」

アントーニョは申し訳なさそうに笑った。

「……んだよ、そういう事か。」

「せや、ほんまにすまんな…怖い思いさせてもうたな…」

「………いいぜ、許してやる。」


俺はふっと微笑んだ。


「…………!!(ろ、ロヴィが…笑た!)」

「アントーニョ…?」

「このツンアホが!可愛過ぎんねんて、もーっ!!」


アントーニョは俺に勢いよく飛びかかってきた。


「うわっ!!なっ、何なんだよいきなり!」

「もー、ほんまにものごっつ可愛ええなぁ、可愛ええなぁ!」


アントーニョはぎゅっと力強く、優しく俺を抱き締めた。

俺は一つだけ溜め息をついた後、そっと抱き締め返した。


「……………(たまには…素直になってやってもいいか……)」



俺は安心と重なる体温の温かさに幸せを感じつつ、そっと目を閉じた。
















あとがき的な。

こんにちは、椿 嶷蓮です。

という訳でですね、親分子分ですよ!はいw
こちらはブログ再録でございます。

あともう一本、ロックがかかっているところには他の親分子分のブログ再録を更にアレンジした(エロ要素倍増的な意味で。)ものがあります。そちらも是非。

ではでは!(`・ω・´)ノシ



←Back**Next→

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!