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Delusions ーshort storyー
Jack-knife kiss.(朝菊)
帝国島国でちょっとシリアスに殺伐に。目線の鋭い二人を想像して下されば有り難いです。






私は東の島国、貴方は西の島国。

思想も文化も異なる私達。

そんな私達が利害が一致した為に同盟を結んだ。

私達は結び付く事によって自分に対する害を排除し、利益を有する事さえ出来ればそれだけでいいのだ。

だから、私は…


「本田…」
「……」


貴方は私を抱き寄せた。

理解できない。

いつからか、私達は肉体関係を持つようになった。

自分でもそれが理解できない。

いつも自分の感情について考えようとするとそんな間もなく快感の波に飲み込まれる。

何で自分は同盟以上を許しているのだろう?こんなことは辱しめ以外の何物でもない。

とりあえず私は訊いてみることにした。


「…カークランドさん。」
「ん?」

行為後、貴方はさっさと服を直している。

「どうして、こういったことを?
私は貴方の恋人ではありませんよ?」
「…何でだろうな…」
「理由はないのですか?」
「あるにはある…かな。」
「それは何ですか?」
「それは…
ただ単純に、お前が欲しい。」
「…性的な意味で?」

私は貴方を蔑んだ目で見た。

しかしその問いに貴方は意外な切り返しをした。

「じゃあお前はどうなんだ?」
「え…?」
「お前はどうなんだよ?
どうして俺にいつも抵抗せずに抱かれている?
同盟の為か?欲求の為か?背徳行為をしたいからか?」

そういえば…

自分はなんでいつも抵抗しないのだろうか。

無意識の内に求めてる?

その欲求は心の隅の光?

自分がわからない……


「……分かり、ません。」
「ほらな、つまりはそういう事なんだよ。」
「?」
「俺も自分の感情が理解できなかった。
どうして俺が男のお前を欲しがるのか、何故その理由が性的な意味以外であるのか…。」
「性的な意味…以外?」
「あぁ。
……後はお前も分かるだろ。きっとお前は俺と同じ感情を持っていて、それを理解できずにいる。」
「…御冗談を。」
「冗談だったらもっと上手いこと言ってるぜ?」
「では…この感情は、どうしたら宜しいのですか?」

私は貴方を見つめた。

「…素直に認めたらいい。
俺もそうして、それに従っているんだ。」
「素直に…認める?」
「あぁ…そうしたら大分スッキリした。
まぁ…罪悪感の方が強いけど。」
「罪悪感?」
「そうだ…
好きなやつを同意の上とはいえ傷付けた。そいつに言うべき事も忘れてな。」
「それはどんな…」
「言わせる気か?」
「だって貴方には罪悪感があるのでしょう?それを言ったら少しは薄れるのでは?」
「……分かった。」

そう呟くように言うと貴方は私を抱き寄せた。

「好きだ、お前が……
同盟としてではなく、一人の人として…」
「……!」

抱き締める力はいつもよりも強く、重ねた唇はいつもより暖かく優しかった。

「…分かっただろ。」
「……えぇ。」
「お前は?」
「さぁ、どうでしょう?」
「何だよ、言えよ。」
「御断りします。」
「シャイなのか?」
「そうでもありませんよ。」
「…じゃあさ、どうしたら好きって言ってくれる?」
「それはご自分で見つけてくださいよ。」
「ゲームなのか?」
「ただの遊戯です。見つけたら貴方の勝ちですよ。
ご褒美は…そうですねぇ」

「『お慕いしています』という言葉と、私からの甘い口付けとしましょうか。」


私はそう言って笑ってみせた。












あとがき的な。
何か最終的にはシリアスどころか一気にぬる甘になってしまいましたね…。なんぞこれ…
私には殺伐な島国は無理だったようです…orz
ではではこの辺で☆



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