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捏造連載
un triste addio#4

一番近くで見ていた。
ゆらりゆらり、主様の瞳が移ろう様を。
腕に刺さる針は長い、青黒く変色した肌から伸びる長い管は点滴に繋がる。

「あるじさま…。」

どうして。
あんなにも美しい青薔薇に、酷いことをするのだろう。



そうヴィエリが呟くのをエルネストは黙って聞いていた。
愛しそうに撫でる指先、辿る、青黒く変色したアルマンドの腕。筋肉が衰えてもなお美しい身体は、奪おうと、暴こうとする多くの手によって蹂躙されていた。
ようやく保護、した時には、もう、すべてが遅かった。
今もあまり状況は変わらないかもしれないが、エルネストはこれで良かったのだと自分に言い聞かせている。
欲と金に塗れた女の、男たちの手で汚されていくアルマンドを、見たくはなかった、ただの自己満足と言われても。エルネストはこれで良かったのだと言い聞かせている。

「主様ぁ、喉は渇いていませんかぁ…アタシ何か持ってきますよ、お水、飲みますかぁ…?」

虚ろな瞳は反応を返さない。それでもヴィエリには、この、人形のように動かなくなってしまった主人を未だ献身的に支える男には、アルマンドの心情が少なからず理解することが出来る様だった。

「もうすこぅし、時間が経ったら湯の準備が整います。うふふ、今日はジンジャーの香りにしましょうかぁ?」

エルネストは部屋を出る。木製の重厚な扉を閉めて、その外側に付けられた鉄製の檻のような扉も閉めた。
ガチャガチャと派手な音の鳴る鎖を巻きつけ南京錠をかける。鍵は、守護者しか持っていない。
人道的ではないのは分かっている。
でも、こうして厳重に隔離しなければ守る術がないのだ。
ボンゴレの内部者は、もう信用することが出来ない。同時に、錯乱したアルマンドを止めることは、守護者にも難しい。
隔離して、閉じ込めて、監禁して。
なるべく穏やかな時間を過ごさせる、それしかないのだ。

「まるで箱庭だな…。」

自重気味に呟いてエルネストは廊下を歩く。
温い風にシャツの腕を捲り上げた。

こんな風に、どうしてなってしまったのだろう。
思い浮かぶのは、自分たちにとっての太陽が闇に落ちたあの夜のこと。





手折られた、薔薇の行方

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