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ボカロパロ小説
ココロ・キセキ

一度目のキセキは、君が生まれてきた事。これが嬉しかった。
二度目のキセキは、君と過ごせた時間。とても楽しかった。けど…そう長くは続かなかったんだ。
僕が病を発行したせいで。
君を独りぼっちにさせたみたいだ…――――。

(ココロ… それは、素晴らしいもの。
 つかみ取れない かたちの無いもの。
 それでも求めてしまう、 とても不思議なものだ。
 始まりを知らない“キセキ”そのもの)





【ココロ・キセキ】







薄暗い研究室に、一人のロボットを作る白衣の男…
この博士は名前はゴジータ博士。孤独な科学者だ。

ロボットヲ作動シマス…
ロボット名ハvegetto
パスワード p0qTT0P0t9
正確デス…
デハ作動シマス……

カチッ

ウィィィィィ…ン


このロボットは、博士の生み出した『ベジット』。出来栄を言うならば、“奇跡”だ。
異常が無いか、点検したゴジータ博士。
ベジットはゆっくりと瞼を開らく。

「君の名前はなんていうの?」

「……ベジット…」

「OK。では僕が誰か分かるね?」

「ボクノ、設計者デス…」

ベジットはロボットだから、自分の名前と博士の事は全てインプットされていてすんなりと答えられた。
ただし…
一つだけできない事がある。それは、
『ココロ』というプログラムだ。博士は心の中で、そっと呟く。
(ココロは永久に続くプログラム
 ただし、一つ起動条件がある
 “イノチ”という有限の土台の上でしか
 動くことが許されないようだ)

彼は、そのココロの意味を話す。

「ベジット。ちょっとおいで」

ゴジータ博士は、ベジットを呼ぶ。

「ナンデスカ、ハカセ」

「ベジット
、ココロについて教えてあげよう」

ベジットは表情一つも変えずに、彼の言葉を待つ。

「心は、悲しみ、喜び、怒り。この三つの事がベジットに分かるかな?」

「………コ コ ロ…?」

「そう、心。僕みたいな人間の持つ、感情の事だよ」

「…………………理解デキマセン」

理解できない…つまり、ベジットは心を知らないのだ。
そうか、この子にはまだ…。
小さな溜息を一つ吐く。

「…そっか。いずれわかってくる日がやって来る。その時まではお預けだよ」

そういって、ゴジータ博士はベジットの頭を優しく撫でた。





時が過ぎていったある日。ベジットはコーヒーを注いだコップに、お盆を持って研究室のドアの前に立つ。


「コンコン」

ベジットは、博士の部屋のドアにノックをした。
しかし返事はない。

「ハカセ、居ルナラ返事ヲシテクダサイ」

博士は一度集中したら周囲の音が聞こえない。そういう人なのだ。
ベジットはもう一度精一杯の声で

「ハカセ!」

と叫ぶ。
そしたら彼もようやく気が付いたみたいで、やっと返事を
返す。

「ベジットか。どうぞ」

「ハカセ、今度ハ何ヲ研究シテルンデスカ?」

コップをディスクの上に置いた。

「うん?…ああ、これか。やっぱり気になるんだ。君のココロの事を………」

ココロ…
人間に近く、感情などは無いロボット。
それが自分自身だとは知っていた。
ココロが無ければ人間でもない。
このベジットみたいに心の意味が分からない者になる。
博士はコップを手に取り、口に運んだ。その瞬間コーヒーのいい香りが漂う。

「ベジット、これだけは言わせていいかな」

「ハイ」

ベジットは顔を見上げる。
相変わらず、表情は変わってない。
仕方ないか。ココロをインプットされていないから…。

「ずっと…僕の隣で居てくれるかい?」

ベジットは無言で頷いた。
ゴジータ博士は、満面の笑顔になった。嬉しいのだ。

「そうか。ずっと側に居てね、ベジット」

「ワカリマシタ」

それから、ゴジータは研究室にベジットを連れて行ったりしていた。
そんなある日の事…博士はとある病を起こした。病名は、脳靡発吐血。最も恐ろしい病気だ。
口から吐き出る血は死に至る危険性が高いと言われる吐血。

「ハカセッ…」

こんなに、まだ若いのに病気の発行なんて信じられない。

「ゲホッ、ゲホォッ…だ…大丈夫だよベジット。このぐらい平気さ」

何だろうか、この不安感と落ち着きなさ。

「ハカセ…今スグ手当テシナイト、ハカセハ死ンデシマイマス!吐血ニヨッテ、死ニ至ル可能性ガ―――――…」

ぎゅうっ

ゴジータ博士は最期の別れみたいに、
機械であるベジットをきつく抱きしめた。鼻水の硯音が聞こえる。多分、泣いているのだろう。

―アナタハナゼ、泣クノ?―
もしかして、死ぬ事が分かっているから?
別れるのが、辛いから?
ワカラナイ…。ねぇ、教えてよ、博士。



気が付いたら、ベジットは手術室の前に立っていた。どうしてここにいるのだろう。
そうだ…ゴジータ博士が脳靡発吐血を起こして、ベジットをぎゅうっと抱きしめて…ゴジータ博士が崩れ落ちて……
救急車の中で、ベジットは必死にゴジータ博士の名を上げた覚えはあった。

赤いランプが消えた。手術が終わったらしい。
ベジットはスグに立ち上がった。が途端に揺れる。看護婦さんが出て来た。

「ハカセハ…?」

「意識は…ほんのわずかあります。あなた、あの博士のロボットだってね…博士があなたに話したい事があるそうよ」

135号室、博士がベッドで寝ていた。
が、呼吸器を付けていて息が若干乱れているのをベジットは逃さなかった。
ゴジータ博士は目をゆっくり開ける。そこには、自分で作り上げたロボットの姿が。

「ベジ……ット…」

博士の手が、ベジットの顎に当たる。
それも、力がなさそうな瞳で見つめた博士。
博士は言葉を続けた。

「ごめん………ね、ひと…りに…させちゃ、ぅっ…」

「ハカセ…コレ以上、喋ラナイデクダサイ…」

こんな病にかかって、博士は辛いと思った。病気なんてなった事も、ベジットはロボットだからなかったがそれでも博士が心配だ。
自分を作ってくれた博士を、死なせてはいけない。

「ベジット…………僕は…感謝を……しなければ…成らない。……ずっと隣で…居てくれて……ありがとう………」

手が…下にゆっくり下りる。

ピー ピー

心臓停止音が…この部屋中に鳴り響いた。博士はもう…


―――ハカ…セ…?

博士はもう、冷たい身体になっていた。動かない。最後の言葉を、残したまま天国へと旅立ったのだ。
ベジットの瞳からぶわっと涙が溢れ出てきた。
ずっと一緒に研究室に居たり、手伝ったり…。大切な記憶が繰り返し…繰り返しするほど、目に滲みる。

「ハカセェ…っ」

涙が止まらない。大粒の涙が、ベジットの頬に伝えた。
加速する、キセキ。
こんなにも痛かったの?
ナゼ…僕震える?
加速する、心の波動。
これが自分の望んだ『ココロ』?


僕 ノ 理解 ヲ 超 エテ イ ル………!!




ベジットは泣き続けた。泣いても何も起きない。
でも悲しい。こんなに悲しい思いは初めてだ。
病院を出て、いつも一人で行く丘に行く。あそこは、空気が美味しい場所でお昼寝が出来る場所。辿り着く度に空気を吸いたくなる。
ベジットは悲しみを知り、嬉しさも知った。
だから…
ゴジータ博士に聞こえるように、永遠に歌う。この歌をアナタに捧げる。

アリガトウ、アリガトウ。僕をここに生んでくれて。
アリガトウ、アリガトウ。キミと一緒に過ごした時間。
アリガトウ…アリガトウ。アナタがくれたキセキ。
アリガトウ、アリガトウ。…ありがとう。

するとベジットの隣に、死んだはずのゴジータ博士が立っていた。身体は半透明になっている。

『いい歌だね、ベジット。やれば出来るじゃないか』

「ハカセ…?ナゼココニ……」

博士は振り向いた。満面の笑顔をこちらに向ける。

『それは内緒。だけど、キミはついにココロを手に入れる事が出来た。おめでとう、ベジット。やはり、キミは僕が開発した天才ロボットだよ』

ベジットと同じ、エメラルドグリーンの瞳がいつも以上に綺麗に思えた。
博士を抱きしめたかったが、それは不可能だとベジットは思った。
なぜなら、相手は半透明。透けているのだから。
ベジットは、柔らかい笑顔を作る。

「ハカセニソウイワレテ、ナンダカ照レクサイデス…」

ベジットの頬が赤く染められていった。初めて感情を覚えたベジットは、手で後頭部に自分で撫でる。

『そんな事ないよ。ベジットを生み出して本当によかった』

すると博士の身体が徐々に薄くなっていく。消えるのだ。
消える直前、博士は微笑んでいた。
もしかしてこれが、キセキなのか。
神様が博士を見せてくれたかもしれない。

「ハカセ…」


モウ一度…

アリガトウ、アリガトウ。
…アリガトウ、アリガトウ。
アリガトウ、一緒に過ごせた日々を忘れない。
ありがとう、ありがとう。
本当に、ありがとう。




それはまさに奇跡でした。
"ココロ"を手に入れたロボットは歌い続けました。
思いを全てを。
しかし、その奇跡もつかの間。
"ココロ"は彼にはあまりにも大きすぎました。その大きさに耐えられず機械はショートし
二度と動く事はありませんでした。
しかし、その表情は笑顔に満ち溢れ
まるで天使のようでした。















――End―








やっと書き終わったぜぃココロ・キセキ。
今度は…うん、どうしよう。
考えておきます。
\(*^o^*)/
あ、学校で考えようっと。
でわでわwww

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あきゅろす。
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