泣き疲れて、いつの間にかしばらく眠ってしまっていたらしい。
さっきは夢だと思っていたから平気だったけど、外で眠るのなんか初めてで、起きた瞬間に猛烈な恐怖と安堵感に駆られた。
肉食動物に襲われてたら、今頃きっと死んでた。食われなくてよかった。
(でも……死んだ方が良かったかもしんない)
いつも周りに人がいるってことが、どれだけありがたいことだったのかを思い知る。
孤独は、怖い。まだ一日も経ってないんだろうが、このまま誰もいない世界が続くならいっそ死んでしまいたいと思ってしまう。
大きすぎる月の光の下、ほの明るい草原を見渡す。地上のどこにも光は見当たらない。
「……どうしよう」
ここにいても、絶対に誰にも会えないだろうことはわかる。けど、どうしたらいいのか、わからない。
お腹も空いた。昼に歩いてる途中、小さな川を見つけて水は飲んだが、昨日の夕飯から何も食べていない。それに、今日はこれだけ歩いた。
ああ、そうだ、川沿いに歩けば良かったのかもしれない。川のそばには人が住むって、歴史の授業で聞いた気がする。でも、今更だ。もう戻る気もしない。
「ほんと、どうしたら……」
そう呟いた、瞬間だった。
遠くで微かに、何かの鳴き声が聞こえた。