「っ!」
思わず空を見上げたのは、鳴き声が上から聞こえてきたからだった。
鳥だろうか。鳥でもいい。何か、生き物の気配だけでも感じたい。
それだけを思って、必死で声の主を探す。
「う……わぁ!」
見えたのは、思ったよりも近くを飛ぶ、図鑑に載ってた空飛ぶ恐竜みたいな、何かだった。
思わず見とれてしまったけど、確かあいつらは肉食恐竜だったような気がする。
(く、食われる!)
その一心で地面に伏せた。
けど、よく考えたら俺の着てるパジャマ代わりのジャージは黒だが、Tシャツは白だ。
(月明かりが反射して余計目立つかもしれないじゃないか!)
さっきまで死んだ方が云々と考えてたわりに、俺は生きるのに貪欲だったらしい。
考える前に身体が動いて、急いで起き上がってTシャツを脱ごうと……
「おい、お前」
「へぁ!!!?」
ちょうど首を抜こうとした時に、降ってきたのは。
「お前、何者だ」
久しぶりに聞く、人の声だった。