‐p.2‐ いつも眉根にシワを寄せて難しい顔ばかりしているマスター。 こんな安らかな顔はかなり新鮮で、思わずにやけてしまう。 (マスター、キレイな顔なのになぁ…。いっつもムゥッて顔してたんじゃ勿体ないですよぉ…) そんなことを思いながら、そっと身体を寄せる。 マスターの匂いに マスターの温度… それを身近に感じてカイトにまで眠気が伝染する。 次第にうつらうつらと瞼が重くなる。 ――…すぅ‥ 間もなく聞こえてくる二つめの息づかい。 ――それから数分後、 もぞり、とマスターが動く。 「う‥重…、暑…‥」 肩にかかる重さ、温度‥そして、甘い香り。 ――アイスの‥匂い。 この時点で、左肩の重さの正体をハッキリと理解する。 「…‥はぁ…」 (ミイラとりがミイラになってどうするよ、このバカイトが…) あまり身体を動かさぬように自分の肩にかかったタオルケットの左肩部分を外し、カイトへかけ直してやると、マスターはふと頬を緩めた。 「ま、気遣いだけは貰っといてやる…」 左腕でカイトを引き寄せ、額の髪をかきあげると、そこへひとつ、軽いキスを落とす。 …すると、その時。 [*前へ][次へ#] |