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「‥ぅ…。まぁ‥気持ち良くはないだろうけど…」

普段、クールにしか接してくれない弟の申し出に喜ぶのも解るが……
しかしそんな瞳で見つめられると断るに断れないというもの。
承諾せざるをえなくなったレンは照れたように目を逸らす。

「そんなことないよ。オレ、レンくんのこと信じてるから」

「カイ兄…。‥わ、わかったから後ろ向けよ。マッサージできないだろっ」
爽やか且つやわらかな笑顔にほだされ、レンは照れ隠しにカイトを後ろに向かせた。


「はは…」
(たかがマッサージでなんて大袈裟な…)
焚き付けた当人のがくぽは、むずがゆいやり取りを苦笑混じりでただ眺めつつ、どこからもって来たのか大量のナスの”美味☆茄子”選別作業を始めた。


「…で?どのへんが凝ってんの?」
「んー‥多分このへん、かな?さっき一番良かったから…」
気を取り直すようにレンが言うと、カイトは人間でいう肩甲骨と背骨の間辺りをさすった。

「あぁ、このへん?」
カイ兄細…っ、なんてドギマギしながらカイトの背に手を宛て、レンは短く開始を告げる。
「じゃ早速。」

「あっ、ちょっ‥レンくん待った!!」

あてがえた親指に力を込めかけたところでカイトに制止され、レンは眉根を寄せた。
「…何?」

「あの、ね‥一応言っとくんだけど…」
カイトは上体をひねり、レンの方を向くとモジモジと時折レンを見上げながら口を開いた。
「オレ、マッサージとか慣れてないから‥その…」

「な、何?」

カイトの頬が徐々に朱に染まりゆき、レンもただならぬ何かを感じ取って少し身構える。
やや離れてナスの選別をし終え、ナスを箱に戻そうとしていたがくぽさえも何やら異変を感じて二人の方へ視線を移した。

――まさにその時だ。
覚悟を決めたのか、カイトはレンを見上げて言う。


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