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「あはぁ…。」
熱い吐息は蕾に雄が触れた歓喜の溜め息。
じわじわと侵入してくる太い先端に、入り口は必死に堪えようとパクパクと蠢きながら呑み込んでいく。
次第に皺すらなくなり突っ張った後孔にも容赦なく突き進んでいくレイ。
虚ろにレイを見上げると、苦しそうな表情に全身大粒の汗を浮かべている。

いつもと同じ行為。
だというのに、いつもと違う行為。
ヒモロギの効果の無い今、俺の身体にレイのモノは苦しいく、いつものように穴も柔らかく広がりはしない。
快感に溶けきり、痛みを感じる事もなかった今までと比べ、今は呼吸すらも苦しい。
きっとレイも思うように広がらない入り口に痛みを感じているのだろう。
俺はこいつのこんな表情を見た事があっただろうか。

ベトベトな俺。
汗だくなレイ。
翠玉の瞳に俺が映り。
俺の黒い瞳にもレイが映っているに違いない。
互いに荒い呼吸を繰り返しながら、視線を絡ませ合う。


あぁ、辛そうだな。

そう思った瞬間、苦しい息を必死で深いモノへと変え、挿入しやすいように下半身の力をなんとか抜けるようにした。
俺だってなんでこんな事してるのかさっぱりなのに、当のレイはさらに驚いた表情を浮かべ、そして、嬉しそうに微笑んだ。
先程までの怒りの表情も、いきなり先端を埋め込むような鬼畜っぷりもなりを潜めている。

俺の額に張り付いた髪を優しく撫で上げ、ハジメ。と甘い声で俺の名前を呼ぶレイ。
ゆったりと上体が倒れてくるのを、あぁキスか、と思いながらゆっくりと瞼を閉じていった。
唇に柔らかいレイの唇が触れた。
ちゅっちゅっと触れるだけの口付けの後、上唇、そして下唇の順で優しく食まれる。
濡れた固まりでで閉じた唇をノックされ、薄く開いてやると、ゆったりと濡れた熱い舌が入ってきた。
レイの舌が俺に触れると舌の形を滑るようにゆったりと動く。
口内を弄られているだけなのに、何故か下までジンジンと疼いてくる。
心地よい愛撫に無意識に舌は動き、熱い肉に己を絡ませ合う。
互いの口の隙間からぴちゃぴちゃと漏れる淫靡な水音。
飲みきれなかったどちらのとも判別付かない唾液を零しながら、ゆっくりと瞼を開ける。
ずっと開いたままだったのか、俺を至近距離から見つめるレイの翠玉があった。
そこに、溶けきった自分を見てしまい、なんだか居たたまれない。
恥ずかしくて、見ていられなくて、再び瞼を閉じると、レイの頭に手を回し、力を込めると、レイも互いの口から発せられる水音すらも呑み込もうと隙間もないほどに貪った。

一瞬レイの猫のような耳がぴくりと動いた気がしたが、狭い胎内の入り口で瞬時に大きくなった雄に今度は俺が震えた。

ぅ、んっ、ちゅ…

離れた唇から互いを繋ぐ透明な唾液が橋を作る。
細く、ぷつりと切れるのを合図に、俺は今まで口にしなかった言葉を零していた。

「…っ、れ…ぃ…。」

奴の名前。俺をこんな異世界に呼び寄せた悪の権化。大嫌いで大嫌いで仕方ないのに、俺はこいつに触れられる事が嫌ではないと気付かされてしまった。
ケツに極太の肉棒をブッ刺されているのに、ヒモロギを使われていないのに、俺は気持ち良くて気持ち良くてどうにかなってしまいそうだ。
レイを許せはしないけれど、男同士での性交にも抵抗はあるけれど、俺は今レイの女にされて、奴の下でゆらゆらと腰が揺れるのを止められなかった。
見上げた逞しい胸板にそっと手を添え、自分を組敷く男の裸体を撫でる。
固く鋼のような筋肉。男らしい身体も、神の造形としか思えないこの顔も、完成された雄に俺は屈してしまった。
きっとこれが事実。
俺はバイでも、ましてやゲイでもない。
女好きで、好き好んで男とのセックスをするような奴が居ないのと一緒で、後ろの快感など一生知る事はないと思っていた。
だけど、どうやら自分を犯すこの男のフェロモンに充てられたようだ。
そもそも最初からそうだったのかもしれない。
冷静になっても、男のプライドや不可思議な状況への不満、自分の意思を無視された事以外にはそんなに苛立ってはいなかった。

そう長らく思案に暮れていると、ふとレイの動きが無い事に気付いた。
俺の中に埋まっている逸物は抜け落ち、身体も、呼吸すらも止まっているのではないかと思う程、全てが動いていない。
不思議に思い、上を見上げると心底驚いた表情のレイが居た。

「ぷはっ!」

俺は思わず笑ってしまった。

「今日はお前の怒った顔に間抜けな顔を見た貴重な1日だな。」

あまりの呆けたツラにも関わらずイケメンはイケメンなのかと思うと笑がこみ上げてきた。
レイを見上げながらケラケラと笑っていると、急に背中に腕が周り、キツく抱き締められた。


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