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僕を優しく慰めてくれる廉ちゃん。
何度も何度も、大丈夫だよ。もう心配ないよ。と声をかけてくれる廉ちゃん。



でも僕は知っているんだよ。
この状況を作ったのは誰でもない廉ちゃんだっていうこと。

廉ちゃんが僕に優しくすればする程、翔ちゃんは僕から離れていくって。
翔ちゃんがクラスの中心人物だって知っていて、廉ちゃんはあから様に僕だけ可愛がったんでしょ。
そうすれば、翔ちゃんだけじゃなく、同級生も離れていくから。
僕のママは忙しくて僕と一緒に居られない。
翔ちゃんのママもパパも優しいけど、いつも一緒に居てくれる訳じゃない。

ねぇ、廉ちゃんは知っていたんでしょう。
どんどん僕が独りになっていくのを知っていてやったんでしょう。

それでも。…それでも僕は廉ちゃんの手を離せない。
離したら、僕は本当にひとりぼっちになってしまうから。

そんなのもの耐えられない!

廉ちゃんは僕の身体だけじゃなくて、心も欲しいって言う。
僕には廉ちゃんが欲する感情が何かなんて分かりもしないのに。
有りもしないもの上げられる訳がないのに。
それでも、廉ちゃんは僕が廉ちゃんだけを見る事を望んでくる。

なんで今のままじゃダメなの。
廉ちゃんが望むなら僕はいくらでも身体を差し出すのに。
廉ちゃんがしろっていうから僕は翔ちゃんともしたのに。
それでも廉ちゃんは満足しないの?
僕に他にどうしろって言うの。

ねぇ、廉ちゃん。
今、僕は翔ちゃんの所為で泣いている訳じゃないんだよ。
僕は、僕を孤独に追い込む廉ちゃんが怖くて泣いているんだよ。
昔はあんなに優しかった翔ちゃんに狂気の目を与えた廉ちゃんが僕は怖い。

それでも、廉ちゃんの優しい言葉に安らぎを感じてしまう自分も、温かい手に落ち着く自分も僕は嫌い。
僕をそうさせる廉ちゃんが僕は怖い。
翔ちゃんが僕を憎んでいるように、僕はきっと、いつか廉ちゃんを憎んでしまう。

だから、廉ちゃん。
いくら廉ちゃんでも僕をあげない。
廉ちゃんのモノには絶対ならない。
ゼッタイに…。

だって、僕には廉ちゃんしか居ないのに、廉ちゃんは全て持っているなんて狡いよ。
だからね、廉ちゃん。
全て上手く運ぶなんて事ないって証明してあげる。
それが、廉ちゃんを嫌いにならない為の唯一の方法。





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