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パロディ
遠回りのhappy birthday
※政宗様お誕生日記念小説
※現パロ
※政宗が教師でそれ以外生徒
※CP要素無しのギャグっぽい話です

















―まぁ〜た、アイツらかよ…



放課後の校舎に、溜め息が1つ。

下校時間を10分程回り、現在は夜の7時。
この時間には全員が下校しなければならない。

…筈なのだが。

教室など、数ヶ所の部屋の明かりがついている。
そして、それぞれの窓に見える人影。
誰かが居残りをしている証拠だ。

この学校の教師である伊達政宗は眉をひそめた。
…寄りによって自分が見回りの日にやらかすとは。

(どうせなら小十郎が見回ってる日にしてほしいよな…)

先輩教師であり、幼い頃からの知り合いである強面の男が、生徒を引っ付かんで廊下に並ばせ、説教を延々と続ける姿が脳裏に浮かび、政宗は苦笑する。
だが、彼は用事があるとかで早々に帰ってしまった。
つまりは、あの集団を止めるのは自分。
盛大な溜め息を吐いた後、嫌そうな表情を切り替えて教室の戸に手をかけた。


「Heyてめぇら!!そろそろ帰りやが……ごふぁあっ!!」

ズダァン、と間抜けな音が響く。
政宗は床に顔をめり込ませた状態で突っ伏していた。
即ち、彼はコケたのだった。

「〜〜〜っ!!」

鼻をさすり、ゆっくりと起き上がる。
足元をキッと睨み付けると、そこにはピンと張られた紐があった。

つまりは、その紐…明らかに人為的に張られた紐に引っかかったのだ。

「shit!一体誰が…」

顔を上げた瞬間、ハッとする。
心当たりなど、1つしかない。
こんな事をするのは、今まで居残りをしていた、アイツらしかいないではないか。

そして、苛立ち始めた政宗の前に、見覚えのある銀髪が通り過ぎた。
政宗は低く唸る。

「…元親、コレはテメーらの仕業か?」
「あぁ」

あっさりと返ってきた肯定の言葉。
銀髪の生徒、元親は、ニヤリと笑って続けた。

「案外簡単に引っかかったな…ま・さ・む・ね☆」


ブチッ


政宗の何かがキレた。

教師である自分へのタメ口や、名前の呼び捨ても、彼の怒りを増幅させている。
…まぁ、それはいつもの事なのだが。
だが、彼に反省の態度が見受けられない事に、何よりムカついていた。

「テメー元親ァ!!」
「おぉ〜怖ぇ怖ぇ」
「待ちやがれコノヤロー!!」

教室の後ろのドアから出て行こうとする元親を、政宗は般若の如き形相で追った。

「テメー、後でぶっ殺して………?」

怒声と共に元親が逃げ込んだ音楽室へと一歩踏み出した、その瞬間。
足元の感触が消えた。

「………は!?」

足元を見れば、そこには真っ白な床ではなく、真っ暗な闇。
音楽室には笑う元親と、その隣にもう1人。

「も…となり…?」
「…再び引っかかったな、伊達よ」

底意地の悪い笑みで見下ろす優等生、元就を呪いながら、政宗は闇へと落ちていったのだった。










† † †

その後政宗に降りかかった出来事は、まさに悲劇としか言いようがない。

落ちた先では、仮面の生徒に膝カックンや肘にデコピンといった地味な技を喰らい。
体育館では、どっかの熱い2人の殴り合い(愛)に巻き込まれ。
家庭科室では、橙髪・金髪・赤髪の3人に、箸や包丁による怒涛の攻撃を喰らい。
理科室では謎の影に襲われ。

政宗の体力・精神力は既に限界に達していた。

「ハァ…確か、此処だったか…?」

謎の影を抱えて、奇声(「まさか市を巻き込んで悪に加担してしまうとは…私が悪だぁあぁあぁあっ!!」などと聞こえた)を発しながら走り去った男を追って、たどり着いた教室。
そこは、初めに来た教室であった。

「…また戻って来たワケか…」

説教の内容を考えながら、政宗は扉に手をかけた。



「コラァ!!テメェら゛っ………!!」

クワァンと、タライがまるでバラエティーの様に落ちてきた。
それは政宗の頭を直撃。
彼は暫く痛みに悶絶する羽目となった。

「っ……てぇ〜…」

目に浮かんだ生理的な涙を拭い、タライを拾い上げる。
恨みを込めてそれを見ると、そこには文字の書いた紙が貼られている。


『黒板を見て下され!』


殴り書きのような文字を解読するのに暫しの時間を要したが、政宗は記された通りに黒板を見た。


刹那、政宗の目が見開かれた。
カラァンと、タライが手から零れる。
暫く呆然としていた政宗だったが、フッと笑みを浮かべると、左目を押さえた。

「ハハ…ツンデレかよ、アノヤローども」


そういえば、今日は8月3日…
この日は俺の…



『誕生日おめでとう、伊達先生』


黒板一杯に書かれた、祝福の文字。
いつも悪戯ばかりしている生徒達ならではの方法で、精一杯祝ってくれたのだ。

「おーい、伊達先生ー!!」

窓の外から声が聞こえた。
聞き覚えのあるその声に、窓枠から顔を出す。


「なぁ伊達先生、どうだった?」
「まぁ、僕と毛利君の策だ。成功するに決まってるけど」

笑顔の慶次と、得意気な半兵衛。

「フン…当然よ」
「政宗見えてるかー!?コイツ今顔赤くなって……痛っ!!」
「五月蝿い黙れ!!」

同じく笑顔の元親と、顔を真っ赤にして元親を叩いている元就。

「伊達先生…市、頑張ったの。長政様と一緒に…」
「わ、私は、その…市が言うから…」

たどたどしく話す市と、顔を逸らしながら(だが、此方も顔が真っ赤である)言う長政。

「いやー、ビックリしたでしょ、伊達ちゃん」
「さっきは、悪かったな…」
「……………」

ヘラッと笑う佐助、頬を掻くかすが、何も言わないが此方に手を振る小太郎。

「政宗先生ぇえぇえぇえっ!!おめでとう御座るぅうぅうぅうっ!!」

瞳を輝かせ、近所迷惑な程に叫ぶ幸村。


皆が、祝ってくれている。
今まで、そんな事無かったのに。

目頭が熱くなり、皆の姿が歪んでいく。


「…アレ、伊達先生?」
「おかしいね、無反応なんて」
「大丈夫で御座るかぁあぁあぁあっ!!」
「あ、伊達ちゃんもしかして泣いちゃったー?」

最後の佐助の言葉に我に返ると、政宗は乱暴に目を擦った。


「五月蝿ぇ!!後で説教だテメーら!!」
「げっ、マジ!?」
「逃げろ〜!!」

ワラワラと散っていく塊。
政宗は隠しきれない笑みを浮かべながら、それら全てに向かって叫んだ。


「Thanks!!最高のbirthdayだ!!」


最早涙を拭う事もせず、笑みを消すこともしなかった。


やり方は少し荒いが、生徒達の確かな心が伝わったから。



空に浮かんだ三日月が、まるで微笑んでいる様に見えた。










END














† † † †

あとがき

政宗公、お誕生日おめでとう御座います!!
8月3日に間に合ってよかった!!

ちょっと最初の方で可哀想な事になってますけど…ごめんなさいorz
愛故です←
しかも、何で学パロなんでしょう?(きくな)


では、此処まで読んで下さり、有り難う御座いました!!
そして伊達政宗公、お誕生日おめでとう御座います!!



水城

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