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パロディ
ある晴れた日
※妖怪パロ的な何かです
※CPは今のところ無し
※見方によっては政宗総受けにも見えます
※でも水城的には恋愛感情無しな感じで











時は、江戸時代。
徳川家康が天下を取り、戦乱の世が終わりを告げた、その数十年後。

とある村に伝説があった。


『婆沙羅森の奥深く。
そこに建つは、一軒の屋敷。
屋敷に溢れるは、悲鳴と血のみ。
入れば生きては帰れない…』


村人はその伝説を恐れ、今は婆沙羅森に入る者は誰もいない。

そこへ続く一本道を、一匹の子犬が走っている。
その子犬は、霧に包まれた森の奥へと更に走る。
やがてその姿は、霧の中に消えていった。













森の奥に建つ、一軒の屋敷。
縁側に、一人の男が座っていた。


ワンッワンッ!!


「ん…?幸村か?」

背の高い強面の男が立ち上がり、下の方を見た。
目線の先には、先程の子犬。

「マサムネ様だったら、もう少しで来られる筈だ」
「では、待たせていただきまする!!」


子犬が居た場所には、何時の間にか10歳程の子供が居た。
先程の子犬の毛と同じ色の髪をしているその子供には、しかし、犬の耳と尻尾が生えていた。


「おぉ〜、幸村じゃねぇか!!」
「幸ちゃん、元気〜?」

「チカどの!!けーじどの!!」

幸村の尻尾がピンと立った。
座敷の奥から現れたのは、二人の少年だった。

"チカどの"と呼ばれた方は18、9歳くらいの年格好で、銀髪から二つの角がチラリと覗いている。
彼、元親は"鬼"なのだ。

もう一人、慶次は狼の耳と尻尾を生やしている。
年は幸村より少し上くらいだ。

「お二人も来ていたのでござるね!!」
「あぁ。ちなみに、元就も佐助も居るぜ」
「本当でござるか!!」

幸村の大きな瞳が輝いた。

「今、マサムネと一緒に台所に居ると思…あ、来た来た!!」

おーい、と慶次が部屋の奥に向かって手を降った。
狐の耳と尻尾を生やした二人の少年、そして隻眼の男が盆を持って現れた。


「お、来てたか、幸村!!」
「マサムネどのっ!!」


幸村は、隻眼の男の方へまっしぐらに駆け寄り、ぎゅうっとその腰に抱き付いた。
マサムネが頭を撫でてやると、幸村は尻尾を千切れんばかりに振った。

「マサムネどのっ!!これを!!」
「ん?…ビー玉?」
「…まさか旦那、また人里に降りたの?」
「う……」

マサムネの横に立っていた狐の一人、佐助に詰め寄られ、言葉を無くす幸村。
「駄目じゃないか、旦那ぁ!!人里は危ないって、あれほど言ったのに!!」
「す、すまぬ佐助…でも…」

幸村は耳と尻尾をヘニャンと垂らし、落ち込んでしまった。

「まぁそんなに強く言ってやるな、佐助」
「でも…っ!!」
「俺の為に、コレを取りに行ってくれたんだろ?Thank youな、幸村」

そう言って笑ってやると、幸村の表情も明るくなった。
そんな様子を見ながら佐助は「やっぱアンタには適わないな」と溜め息をついた。


「でもな、一人で行くのは危ないからな…次からは誰かと一緒に行けよ?」
「はいっ!!マサムネどのっ!!」

ビシッと敬礼の様なポーズをする幸村を見て、誰もが微笑んだ。


「さて、そろそろ食べましょうか、マサムネ様」
「我はもう腕が疲れたぞ」

先程の強面の男、小十郎がそう促すと、もう一人の狐、元就が文句を言いながら盆を床に置いた。


「おぉっ!!ずんだ餅じゃねぇか!!」
「俺コレ好きなんだよね〜!!」
「順番に取れ、馬鹿共!!」

いきなり甘味に手を伸ばす元親と慶次の手を、元就はペシリと叩いた。
自然と、辺りに笑いが生まれ、広がっていく。
しまいには、叩かれた元親や慶次も笑っていた。



そんな中、幸村はマサムネの袖を引いた。


「こんなふうに、毎日みんなで楽しく笑えることができて…それがし、本当に幸せでござる!!」

満面の笑みを浮かべる幸村に、マサムネの頬も自然と緩んだ。



「…俺も、幸せだ」










婆沙羅森の奥深く。

そこに建つは一軒の屋敷。

屋敷に溢れるは、満面の笑顔。




太陽だけが、その様子を優しく見ていた。






それは、ある晴れた日の話。









END










† † † †

後書き

初めて書きました、妖怪パロディです。

一応、みんな妖怪です。
一覧にしてみると

幸村…犬神的なヤツの子供
小十郎…吸血鬼
慶次…狼少年的な
元親…鬼(←モロ!!)
佐助…妖狐
元就…妖狐

って感じですかね。
マサムネは…秘密です☆←

これも結構気に入っている話なので、シリーズ化したいなぁ、なんて企んでます←


では、ここまで御覧下さり、有り難う御座いました!!



水城

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