パロディ
日輪書店
※現パロ
※大学生元就が本屋のバイト
※ギャグっぽいほのぼの
夕方。
今日も我が書店には愚民共が群がる。
学生、会社員、主婦、不良…その他諸々。
皆が立ち読みをしたり、雑談をする。事実此処には様々な本があるが、立ち読みをする者はいても、買う者はごく少数だ。
全く、買う気が無いのなら来るでないわ。
そろそろ苛立ちが限界に達しそうだ。
そう思って我はレジを離れかけた。
その時に、見覚えのある顔を見つけた。
…アレは、伊達と長曾我部ではないか?
周りの愚民共と同じくらい騒々しく入って来た男2人。
我と同じ大学に通う、不良共。
…くっ、計算外だ!!奴ら、我がこの書店でばいとをしていると知っての愚行か!?
別にやましい事はないが、バイト先で知り合いには会いたくないものだ。
だが、奴らは我に気付かずに本を物色し始めた。
こやつら、そもそも読書をするのか?イメージが湧かぬ。
…だが、最終的にはどうせ嫌らしい雑誌に辿り着くのだろう。
それを2人でニヤニヤと眺めるのか…何と低俗な。
…ん?
奴らが別れた…?
長曾我部は…嗚呼、矢張りそっちか。
顔がにやけているぞ、長曾我部。
写真を撮ってやろうか、長曾我部。
…だが、伊達は何処へ行った?
見当たらぬな……って、来おった!?
此方に来る、だと!?
ま、待て、待つのだ伊達!!
せめて我がサングラスをかけ終わるまで待つのだ!!
気付くな…我だと気付いてくれるな!!
「い、いらっしゃ「何やってんだ毛利」
…き、気付かれたぁあぁあぁあぁあっ!!
何という事だ!!我が変装を容易く見破るとは…矢張り只者ではないな、伊達め…
「何だよsunglassなんざして…此処は室内だから紫外線対策は要らねぇぞ?」
「う、五月蝿い!!いいから商品を出せ!!」
「あ、うん…わ、分かっ、た…」
………?
歯切れが悪いな。
人には言えない様な物を持ってきたのか?
矢張りいかがわしい雑誌なのか?
「も、毛利、あのよ……これ見ても、誰にも言わないでくれ…」
小声で言うと雑誌をカウンターに乗せる。
「…何だジャ●プとマ●ジンではないか。何故隠す必要がある?」
「え!?Ahー…いや、その…」
やけに歯切れの悪い伊達に構わず、値段を確認しようとジ●ンプを持ち上げた。
…む?他にも雑誌が挟まっているぞ?
…………………。
『世界の可愛いぬいぐるみ特集』………?
…………ぷっ
「ふ……伊達、貴様……くくっ……」
「Ah゛ーーっ!!だから言いたくねぇんだよぉおぉっ!!」
目の前で伊達が頭を抱えた。だが、コレは笑うしかないだろう?
只の不良だと思っていた男が、今流行りの乙男とやらだったのだからな!!
そうか、だから先程長曾我部と距離をとったのか…だがぬいぐるみ…ふふっ…
「に、ニヤニヤすんじゃねぇっ!!早く会計済ませやがれっ!!」
顔を真っ赤にして伊達が怒鳴った。普段の荒々しさからは想像も出来ない姿だ。
「伊達よ…心配せずとも、誰にも言いはせん。からかいのネタにはするがな」
「なぁっ!?ちょ、毛…」
「920円だ…早くせんと長曾我部が来るぞ」
「〜〜〜っ!!毛利テメーッ!!」
バシン、と荒々しく1000円札を叩きつけ、●ャンプやマガ●ンごと雑誌を引ったくった。
そして伊達はそのまま背を向け、ズンズンとレジから離れた。
「釣りは要らねーっ!!」
「ふ、ありがたく貰ってやろう」
再び雑誌をジャン●と●ガジンの間に挟んで、伊達は長曾我部と合流した。
長曾我部は未だにアダルトコーナーでニヤニヤしている。
…あ、殴られた。
ジ●ンプの角が当たった。
「お前何ニヤケてんだ気持ち悪い」
「お、お前エロ本買ったのか…何だ、ジャ●プとマガジ●かよ」
「悪いか阿呆。エロ親」
「エロ親て!!男はみんなエロいんですー」
などという低俗な会話が耳に入る。
いつも通りの伊達、だな。
先程の態度は微塵も感じさせぬ振る舞い。
恐らく、伊達はこの事を誰にも話さないのだろう。そしていつも通りに友人と接するのだろう。
つまり、この事を知るのは、本人を除けば我しか居らぬのだ。
何故だか、優越感が湧く。
また、誰かの知らぬ一面を見られるのだろうか。
確かに騒々しいが、このバイトも案外楽しいかもしれぬな。
今度、伊達に可愛い小物でも買ってやろうか。
…勿論、内緒でな。
END
† † † †
後書き
本屋のバイトの話でした。
…久々だな、元就視点。
どーも私の書く元就はツンの割合が少ない気が(^_^;)
エロ親はいつもですが(←ちょ)、乙男な政宗は初めて書きました(笑)
趣味は料理と裁縫。
大学ではツンツンで多少人間不信な元就。
普段不良な政宗の意外な一面が、感情を表に出すキッカケになる。
っていうのがコンセプトです!!
でも最終的に心を溶かすのはアニキであって欲しいと思う水城なのであった←
では、此処まで読んで下さり、有り難う御座いました!!
水城
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