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桜舞う



黒い景色を映す窓を叩く雨が水流をつくりガラスを流れていく

義孝が居場所になってくれると約束して数日

あれから義孝は詠には触れない

それがひどく心許無くて窓と同時に詠の心も曇っていく

冷たい窓に額をあてるとそれが2人の温度差のようで悲しい

詠が瞳を閉じたまま窓に体を預けていると短いノック音が聞こえた

「………どうぞ」

返事よりも早く開かれたドアの前には義孝が立っていた

「こんばんは。少しいいですか?」

義孝には珍しく艶やかな黒髪を洗いっぱなしにしてコットンのシャツにスラックスとラフな格好だった

心なしか酒くさい

詠の視線に気がついたのか義孝はバツが悪そうに笑った

「お酒をすすめられて………お言葉に甘えて泊めさせていただいたんです。ところで詠さんは今なにをしていたんですか?」

照れたように笑う義孝に詠まで照れくさいような気になった

部屋の中央にあるソファーをすすめると義孝は何でもないように座った

部屋に義孝がいるのは何だか変な気分だ


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あきゅろす。
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