桜舞う
・
「そんなもんだろ」
ぐしゃりと十月に頭を撫でられて自分が見透かされていた恥ずかしい気持ちでいっぱいになった
「もう行くの?」
煙草を消して立ち上がった十月に名残惜しいような気になって声をかけると十月は剪定鋏を見せて仕方なさそうに笑ってみせた
「さぼったのがバレたら親父が怖いからな。なあ、詠………」
「なに?」
急に真顔になった十月に心配そうな色が混じる
「気をつけろよ。あの秘書、いい噂聞かないぞ」
「…………………え」
「じゃあな」
ひらひらと手を振って立ち去っていく十月に心臓が嫌な音をたてて鳴った
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