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桜舞う



「電気もつけないままどうしたんですか?」

明るい声と共に明るくなった室内には整いすぎた美貌にすでに嘘くさい微笑みを浮かべた

「…怖い顔で。そんなに睨まないでください。お父様は無事ですよ」

義孝はネクタイをゆるめながら面白そうに言う

「きちんとお話させてください。どうしてこんなことをしたんです?お金、ですか?」

静かな部屋に義孝が微かに笑った気配がした

「………お金ですよ」

含み笑いをしながら口元を押さえる義孝を詠は信じられない想いで見た

これは一体誰だろうか

「…嘘でしょう、こんな手のこんだことして」

「どうしてそんな事を言うんです?詠さんは何か誤解されてます。今回のことを私が仕組んだとでも?」

次は眉尻を下げて悲しそうに訴える義孝に詠はひるんだ

確かな証拠があるわけではない

それでもーー

「実は僕、高岡さんと義孝さんの会話を聞いてしまいました」

沈黙が辛い

「全部、知っています。屋敷の権利書を持ち出したことも、母親を騙したことも…どうしてなんです?僕とのことも、全部嘘なんですか?義孝さん」



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