桜舞う
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長匡の言葉に嫌な予感がして駅近くの売店に視線を投げる
新聞には父親の顔がでかでかと載っており収賄事件と青い字の見出しが踊っていた
「しゅう……わい…」
よろよろと詠が新聞に近付いていくと長匡が悲鳴のように言い募る
『奥様は使用人と逃げておしまいになられました!旦那様が…詠坊っちゃん、私はどうすれば……』
泣き言の入った長匡の言葉に詠は頭を殴られたような衝撃を受けたが携帯は落とさなかった
「……………高岡」
詠が呟いた言葉に長匡は驚いたようにご存じだったのでと悲鳴をあげる
「お父様を、とにかくお父様にかわってください」
唇が震える
これが現実だとは受け止め難かった
『………詠か』
こんなに生気のない父親は初めてで詠は戸惑う
『帰ってくるなよ…親権はお前の母親のお祖父様に引き取られた。柳くんが迎えに行くから』
言葉を切って父親が笑った気配がした
こんなにも気弱な父親も初めてだ
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