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桜舞う



「……お風呂ありがとうございました」

髪を乾かしてリビングに戻ると義孝はパタリとパソコンを閉めた

どうやら仕事をしていたらしい

詠を見るとゆっくりと近付いて上から下まで舐めるように眺めてきたので詠は身を固くした

洗い晒しのTシャツにスゥェット姿なのだが見透かされるような視線を受けてひどくこころもとなかった

「…私も入ってきますね」
掠れた声でそう囁かれすれ違う瞬間、小指が触れる

そこから電流が走ったように詠は弾かれたように自分の手を離した

意味深な微笑みを残して義孝は浴室へと消えていく

心臓がどきまぎして詠はその場にへたりこんだ

「………どうしよう。今日、眠れるかな?」

そわそわと心が落ち着かないフローリングに座ってみたり大きなキングサイズのベッドがある寝室を覗いてみたり

照明が絞られた寝室はホテルのように簡素で大人のにおいがする

「寝室がどうかされましたか?」

「わぁっ!!」

急に背後からかけられた声に飛び上がって振り向くとそこには肩にタオルをかけた水を滴らせたままの義孝がいた



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あきゅろす。
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