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桜舞う




教会の礼拝堂に似た見事なフロアは父親がオーストリアの城を真似てつくらせた

高い天井は光りを取り込むよう設計されていて石膏の彫刻が詠を断罪するように見下ろす

柔らかな光りに豪華絢爛な食卓

並ぶ使用人は詠に対して慇懃無礼で心の中では詠を馬鹿息子と呼んでいる

家の中は牢獄のように冷たい

詠は小さい頃からマナーだけは叩き込まれたので優雅な食事風景に見えないこともない

もくもくとナイフとフォークを動かす

虚像の家族。上流階級の寒々しい空気に骨まで冷えそうだった

「お前も出席するのか?全くお前は尾上家の恥だな。三流大学しか受からずに堂々と人前に出ようだなんて厚顔無恥の極みだな」

食事中に吐かれた父親の言葉に今切り分けてフォークに刺さったまま口に含んだステーキが鉛のように味気無く重たい物へと変わった

母親は心配するような表情を浮かべたが結局父には逆らえない

ナプキンで口を拭いながらしきりと詠に目配せをする

言い訳をしろと

家族で囲む食卓でも使用人や執事、そして父の秘書である柳義孝も控えているのだ



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あきゅろす。
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