桜舞う
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ああ、こうゆうの。いいなあ
義孝さんの鼻歌が聞こえてご飯の匂いがして
蟠りは確かにあるのだけれど
なんでもないのに幸せで
「……出来ましたよ」
手を拭きながらキッチンから出て来た義孝さんはどことなく嬉しそうで
「キッチンにどうぞ。今日は鮭とタコのカルパッチョと味噌汁ご飯、柚子と大根漬物です」
微笑む義孝に詠も嬉しくなってキッチンに入る
テーブルの上には温かい夕餉が並んでいる
「うわぁ…ありがとうございます。こうゆうの、ちょっと憧れてたんです」
西洋かぶれの詠の自宅では並ばない品々に自然と顔が綻ぶ
「いえ、私もこのメニューをどうしても詠さんと食べたかったです。どうしても、ね」
強調された複雑そうな暗い声に振り向いたが義孝はなんでもないように詠に椅子をひいてみせる
義孝は結局、食事中は一言も喋らず何かを考えているようだった
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