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桜舞う



視線を感じる

指先から詠の四肢を咎めるように刺さる視線が

「詠、聞いているのか」

ナイフを取り落としそうになりながら顔をあげるとそこにはむっすりと顔をしかめた父がいた

そこはいつもの夕食風景でいつもの彫像に見下ろされながらの食事だというのにどこか違和感があった

空気がはりつめたようにぴりぴりしている

「………聞いていませんでした」

鮭のムニエルを切り分けながら俯いて答えると母親がまた咳払いしながら目配せをしてくる

「お前の世話役に柳くんをつけるという話だ。お前は儂の田票を継ぐ跡取りなんだぞ。自覚を持て。これからは同級生のところで遊び歩いたりせずに柳くんと一緒に行動しなさい」

とりわけ機嫌の良さそうな父親が言った事が信じられなくて詠はフォークをぽとりと落としてしまった

メイドが慌てて拾うのを目の端で追いかける

義孝と父親の顔を見、母親の顔で止まった

「え?……いきなりどうしてですか……妙な噂があるって……」

慌てる詠を尻目に母親は口元をナプキンで拭う



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あきゅろす。
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