桜舞う
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会話の内容のわりに室内の義孝と高岡は穏やかな雰囲気のままだ
それが信じられない
「んー?ババアの相手なんて勘弁って感じだったけど首尾よくいったよ。これ、この屋敷の権利書。1度見てみたいなってねだったら簡単だった。それよりババア相手で俺が可哀想だとは思わない?口直しさせてよ」
高岡の言葉に一気に現実が戻ってくる
この屋敷の権利書が絡むならば高岡の言うババアとは詠の母親のことだろう
一気に頭に血が上りカッとなって詠が思わず立ち上がれば室内の2人は唇を合わせていた
義孝の腕が高岡の腰に回る
「あ…………なっ………」
詠は言葉を発することができずに唇がわなわなと震えた
目の前が赤く染まる
詠が次の言葉を発する前に十月が詠の腕を力強くひいた
ぐいっと力強くひかれたかと思うと十月の逞しい腕に抱かれていた
十月はまるで胸に抱き抱えるようにして詠を運ぶ
すぐにでもあの2人に割って入りたいのに十月の腕はそれを許さない
連れていかれたのはあの東屋だった
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